ご利用の皆様へ
よくあるお問い合わせ
- 飯塚病院の漢方診療科を受診したいときはどうすればよいですか?
- 当科では、待ち時間短縮のため『完全予約制』になっています。平日14:00~16:00の間に下記までお電話ください。
飯塚病院 漢方診療科 0948-22-3800(代表)
予約当日は、予約時間までに外来へお越しください。遅れて来られると、診察の空き時間までお待ちいただく場合もあります。また、やむを得ず受診できなくなった場合は、お電話ください。
- 処方してもらった薬を取りに行くのを忘れてしまいました。
- 処方箋の有効期限は4日間です。それ以降は再発行しなければなりませんので、再度外来受診が必要となり、再診料が発生しますのでご注意ください。
- 生薬(しょうやく)と漢方薬の違いは何ですか?
- 生薬とは、自然界の植物、動物、鉱物などをあまり加工せずに、薬物として利用しているものを指します。その生薬を複数組み合わせたものを漢方薬と呼びます。
- 煎じ薬とエキス剤の違いは何ですか?
- 煎じ薬は生薬をそのまま煎じたもの、エキス剤は煎じ薬を濃縮させて、乾燥して粉や錠剤にしたものです。煎じ薬の方が、エキス剤に比べ効果が高く、病態に合わせて生薬の加減ができるため、慢性難治性疾患には煎じ薬を勧めています。エキス剤は携帯に簡便ですが、添加剤として乳糖が含まれることが多く、日本人に多い乳糖不耐症では下痢が見られることがあります。また製造会社により、構成内容に差異が認められ、名前が同じでも別の処方ということもあります。現代ではどちらも保険が適応されますので、病気の緩急・軽重、作製・保存の簡便性やライフスタイルに合わせて選択するのが賢いと言えるでしょう。
- エキス剤はお湯に溶かした方がいいのでしょうか?
- 皆さんはインスタントコーヒーをどのように飲んでいらっしゃいますか。まさか、粉を水で飲んで、お腹をストーブに当てたりしていませんよね。エキス剤そのものがお湯の方が溶けやすいということもポイントではありますが、溶かしたときの香りが大事という説も有ります。また最近の研究では、溶いて飲むと胃内の酸性度が上昇することにより麻黄(まおう)や附子(ぶし)のアルカロイドといわれる成分の吸収が速やかになり、効果的になるのではないかと報告されています。
例外もあります。小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)などの嘔気を抑える薬の場合は、冷めてから少しずつ服用すると良いでしょう。黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)などの身体を冷ます薬も、絶対に温服である必要はないかもしれません。
- 漢方薬を飲むタイミングはいつがいいでしょうか?
- 胃の中に食事の入っていない、食間または食前がベターです。生薬の中には、食事と混ざると配合バランスが崩れて効果が落ちる可能性があるものもあります。また、食事の成分の一部が、漢方薬の成分と結合して吸収を阻害する可能性があります。
しかし、時間にこだわって服用しないより、気にせず服用した方が効果はあります。服薬忘れを減らす目的や、胃腸虚弱な患者さんの場合は、漢方薬内服時の負担が少ないので食後をすすめることもあります。
- 食前に飲み忘れたり、お湯がない場合はどうすればいいですか?
- 食前に飲み忘れたら食後に、お湯がない時はそのまま水で飲んでいただくのも止むを得ません。「飲める時に飲む、飲まないよりは飲む」くらいに考えてください。なお、食後のお薬がある場合は、30分程度は時間をずらしてください。
- 漢方薬を煎じる容器や時間について注意すべきことはありますか?
- 使用した容器や加熱器具によって、温度上昇や出来上がりの湯液の量にばらつきが出るため、当院では処方集にも煎じ方に関する取り決めが事細かく書かれています。まず、当科では土瓶で煎じるのを標準としました。なければステンレスの鍋でも構いません。なお、鉄鍋などでは生薬の成分が吸着する恐れがあります。通常600Wの電熱器で600mlの水を約40分間煎じて、300ml程度に煮詰めます。烏頭(うず)含有方剤は800mlから約60分煎じて300mlに煮詰めることにしています。施設によって若干の違いはあるかと思いますが、要は毎回同じ条件で煎じる環境を維持することが重要です。
- 薬を飲むと調子が悪い気がします。次の受診まで様子を見た方がいいですか?
- 体調不良や薬に関して困った事がありましたら、まずは漢方診療科外来までお電話ください。
飯塚病院 漢方診療科外来 0948-22-3800(代表)
「新しい薬に変わって、体調が悪い」「風邪などで、体調がよくない・・・薬は飲んでもいいのかな?」「全く違う症状が出てきた」など症状が変わってきた、または薬が合わないと感じた時は、薬を一旦やめて様子をみるか、お電話でご相談ください。
ご連絡いただければ、主治医に確認をとって電話でのお返事や、場合によっては外来を受診していただきます。検査や他科受診が必要な場合もありますので、なるべく早い時間帯にご連絡ください。診察状況によっては代理の医師が診察します。直接外来にお越しになられても診察がすぐに出来ず、待ち時間を要す場合がありますので、必ず受診の前にお電話ください。
また、今まで効いていた薬が効かなくなったり、逆に調子が悪くなったりすることがありますが、これは薬の効力が落ちるためではなく、体の状態が変わって薬が合わなくなるためです。人の体は、季節や天候、飲食、ストレス、細菌・ウイルス、その他さまざまなものの影響を受け変化します。したがって、体調の悪い方、安定しない方などはこまめに受診していただいています。
- 風邪をひいたのですが、漢方薬はそのまま続けてもいいですか?
- 漢方薬は、その時の体調に合ったものを飲まなければ効果がないばかりか、体調を悪化させる可能性があります。風邪をひいた時の病態はいつもとかなり異なるため、風邪が治るまで薬を中止してください。一番は、漢方診療科を受診して、風邪用の漢方薬を飲んでいただくことをお勧めします。
- 他の病院でもらった漢方薬と一緒に飲んでもいいですか?
- 複数の漢方薬を服用する場合は、医師に相談してから服用してください。
漢方薬は、含まれる生薬の種類や量、さらにその微妙な配合で薬効が決まります。したがって、全く違うタイプの漢方薬を混ぜると、薬そのものが持つ個性が失われてしまう可能性があります。さらに、生薬によっては重複すると過量になり、副作用を生じる恐れもあります。
- 西洋薬と漢方薬を一緒に飲んでもいいですか?
- 風邪やその他の体調不良で風邪薬、鎮痛薬、睡眠薬、抗アレルギー薬などの西洋薬を処方された場合、漢方薬と併用しても基本的には差し支えありません。漢方薬は草根木皮、つまり草木の根、皮など自然の素材をそのまま使っており、例えるならばお茶やスープのようなものなので、西洋薬との飲み合わせで相互作用が問題になることはほとんどありません。
ただし、西洋薬の種類によっては、漢方薬と同時に内服すると吸収を阻害したり、作用を変化させたりするものがあります。また、風邪用の漢方薬に解熱薬を併用すると漢方薬が効きにくくなる場合がありますので、念のため医師に相談して服用してください。
- サプリメントや健康食品等を一緒に飲んでもいいですか?
- サプリメントや健康食品との併用については種類も豊富でなんとも言えないのが正直な気持ちです。漢方の成分の一部であるタンニン成分は、ある種の金属や蛋白質に吸着されて吸収が阻害されたり、乳酸菌製剤などのように腸内細菌に変化を与える場合は、腸内細菌を利用するサポニン類の吸収や大黄の瀉下作用に影響を与える可能性があります。元々の薬効の穏やかなものを使用していると考えられますので、服用時間をずらす(30分~1時間もあれば十分)ことで相互作用はあったとしても無視できるでしょう。
- 漢方は長く飲まないと効きませんか?
- すぐに効果が現れるものと、効果を実感するまでに数週間を要するものがあります。こむら返りにしばしば処方される芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などは数分で、また風邪などの急性疾患では10~15分で改善効果が現れますが、漢方を受診する機会の多い慢性疾患では場合によっては長い経過観察が必要です。多くは1週間以内に何らかの良い徴候(必ずしも一番困っている症状とは限らず、他の症状から良くなることもあります)が認められますが、リウマチなどの慢性疾患では炎症反応が低下するまでは4週間くらい経過をみることもあります。患者さんにはすぐに止めてしまわない様に「3日坊主という言葉もありますので、少なくとも3日以上は継続してくださいね。」と話をしています。
- 漢方薬を飲み始めてから血圧が高くなりました。
- 漢方薬に含まれる「甘草(かんぞう)」という生薬によって、時々血圧上昇や浮腫、低カリウム血症などを来たすことがあります(偽性アルドステロン症と呼びます)。しかし甘草には、薬の作用を調和したり、穏やかにするといった大切な作用があるため、漢方治療には欠かすことができず実際に漢方エキス製剤の7割近くの処方には甘草が使用されています。通常、少量の甘草で副作用がでることはあまりありませんが、甘草を多く含む薬を長期間服用する場合は注意が必要です。
- 子供は漢方薬を飲まないのではありませんか?
- この質問の背景には「漢方薬は苦いものだ」という思い込みがありませんか?昔から言われているように、身体(漢方医学的病態=証)に合っていれば一般的に苦いと思われる処方でも、すんなり飲めるものです。お母さんや関係者が「苦いけど飲んでね。」という態度では、子供も嫌がります。薬として淡々と飲ませましょう。乳児では湿らせた指にエキス剤を付けて、頬の内側に塗りつけ、その上からお乳を飲ませるようにしましょう。つい甘みをつけたくなりますが、かえって甘みによって元々の苦味を強調することがあります。せいぜい蜂蜜くらいにしてください(ただし1歳未満は要注意)。慣れてしまうと、漢方薬は飲めるけど西洋医学の錠剤が飲めないという事態が生じます。まずは飲める時に飲むくらいの柔軟な姿勢で臨みましょう。
- 漢方薬のやめ時はありますか?
- 風邪などの比較的軽症の急性疾患であれば、症状が消失すればやめて構わないでしょう。しかし急性疾患でも、例えば急性の腰痛などの場合は、漢方的な原因(瘀血(おけつ)とや冷え)があることが多いので、症状が軽減しても治療を継続すべきだと思います。慢性疾患の場合にも、病態を示唆する症状・所見が残っていれば治療は継続すべきだと思います。アトピー性皮膚炎のように季節性のある疾患は年単位での経過観察が必要ですが、 症状が改善されれば2/3量、1/2量と徐々に減らしていくことは可能です。しかし現実は、患者さんも調子が良くなるとサボって薬が余るようになりますので、その時が減らし時とも言えますし、最初は腰痛の訴えだったのがいつしか冷えの訴えに変わり、いつしかまた別の訴えに変わるという、無限の循環に入るパターンもあります。