お悩み別漢方
月経異常 ~血の巡りを改善する~
高い山に登ろうとする時には、山を制覇しようとする強い意志も大事ですが、服装や装備、食料など十分な準備も必要です。漢方医学では全身を巡る、目には見えないエネルギーを気(き)、物質面を支える赤い液体を血(けつ)と呼び、どちらも重要視しています。
血は現代医学の血液とよく似ていますが、漢方医学では局所に滞る傾向があります。暗赤色の唇や目の周りのクマ、皮膚に見られる毛細血管拡張は目に見える血の滞りによる症候で、私たちは瘀血(おけつ)と呼んでいます。瘀血はさまざまな症状を呈します。不眠、精神症状、腰痛、筋肉痛、痔(じ)などで、女性の月経異常などは、血の滞りによって起こると考えています。診察すると、しばしばおへその周りに圧痛が認められます。
20代の女性が無月経で来院しました。2年半前から月経が止まり、結婚を控えて婦人科でホルモン療法を受けた結果、副作用により急激な体重増加が見られました。瘀瘀血の病態と判断され、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が処方されました。2週間後に月経が自然に再開し、5ヶ月後には結婚に至りました。
桂枝茯苓丸にはボタンやシャクヤクなどの美しい植物が使われており、血を巡らしてくれます。