お悩み別漢方
動悸・のぼせ・発汗
生体を巡るエネルギーである気(き)は、上に昇りやすい性質を持っています。緊張すると顔がほてるということがありますが、自律神経やホルモンバランスが崩れやすい更年期障害などでも、のぼせ、動悸、発汗などが見られます。
漢方では、これらの症状は気の働きが不安定になって、上の方に突き上げるのに伴って起きると考え、気逆(きぎゃく)と呼んでいます。同様に発作性の頭痛や、こみ上げてくるようなせきや嘔吐(おうと)も、気逆による場合があります。
60代の女性が顔のほてりと足の冷えを訴えて来院しました。顔が赤く、入浴時にほてりが強くなる一方で、足は冷える症状が見られました。典型的な気逆の病態と考えられ、「苓桂味甘湯(りょうけいみかんとう)」が処方されました。その結果、1ヶ月ほどで顔の赤みやのぼせが軽減しました。
気逆のある方のお腹を診察すると、へその上で動脈の拍動に触れることが多く、「ビックリしやすいでしょう?」と聞くと、「何で分かるんですか」と、かなり驚かれます。また、しばしば、疲れやすいなどの気虚(ききょ)の状態も併存するようです。ビックリしやすい人は疲れやすいのでしょう。