お悩み別漢方
肌の乾燥・爪割れ・抜け毛
年齢とともに乾燥症状が目立つようになり、入浴後などでも肌がカサカサし、爪(つめ)が割れやすい、髪が抜けやすいなどと感じることはありませんか。これらは、身体の物質的側面を支える血(けつ)が不足した状態でしばしば見られる所見で、私たちは血虚(けっきょ)と呼んでいます。血虚は表面的な症状だけでなく、局所での血の不足によって、集中力の不足やこむら返り、目のかすみ、動悸、不眠などの原因になることもあります。
70代の女性が、特に明確な誘因もなく、手足の皮膚が簡単にはがれる症状を呈しました。皮膚のはく離は数週間で治癒しますが、別の部位で同様の症状が繰り返されました。気虚(ききょ)および血虚を補うため、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」が処方されました。その結果、3ヶ月後には皮膚のはく離が見られなくなりました。
血虚を補うのは十全大補湯の中に含まれる、四物湯(しもつとう)という生薬ですが、肝炎でインターフェロン治療中にみられる脱毛や腎不全の際のかゆみなどに、四物湯は効果があります。