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お悩み別漢方

のどの詰まり・胸や腹の張り・憂うつ

のどの詰まり・胸や腹の張り・憂うつ
 生体を循環するエネルギーである気(き)が局所で停滞すると、その場所に違和感を覚えます。頭は帽子をかぶったような感じ、のどはつまり感、胸や腹は張った感じなど、気分が沈んですぐれないと訴えられます。
 昔は、全身的な気の停滞を気欝(きうつ)の病などと言いましたが、現代では広く気欝または気滞(きたい)と呼んでいます。現代医学で言う「うつ病」とは意味が違うので間違えないでください。
 気を巡らすには桂皮(けいひ)や蘇葉(そよう)などの香りのある生薬が用いられます。漢方にはアロマテラピーの要素もあるようです。

 50代の女性が、約3ヶ月前から舌の中央に痛みを感じる症状を訴えました。家庭内でのストレスが影響していると考えられ、舌を主とする気欝と診断されました。「香蘇散(こうそさん)」が処方され、2週間後には痛みが7割ほど軽減し、その後も徐々に改善して現在はほぼ消失しています。

 「香蘇散」は紫蘇(しそ)などを主とする代表的な気を巡らす薬です。
 豊臣 秀吉の時代に加藤 清正が、長引く戦闘に嫌気がさした兵士の気欝を取り除く目的で、盛んに「香蘇散」を用いたという逸話があります。こうなると治療というより、ドーピングでしょうか。