医療関係者の皆様へ

こんなときには漢方

ノロウイルスに黄芩湯(おうごんとう)

 寒くなりました。風邪にインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が流行る季節が到来しました。今回はノロウイルスの嘔吐下痢症(おうとげりしょう)に黄芩湯を紹介したいと思います。

黄芩湯の処方について

 黄芩湯で、嘔気が強い場合は、黄芩湯エキスと小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)エキスを一緒にお湯に溶いて服用すると対応出来ます。
 下痢にも熱が主体のものと冷えが主体のものに別れます。ノロウイルスは熱が主体の下痢で、発熱、嘔気、腹痛を伴うものに大変有効です。以前、高齢者施設でノロウイルス感染症が多数発生したときにも黄芩湯エキス投与を行い、黄芩湯の治療効果をまとめたことがあります。
 1回の服用で治癒したものが0%、3回の服用で治癒したものが75%で、55%が24 時間以内に症状が消失しました。
 冬の嘔吐下痢症、ノロウイルス感染症には黄芩湯がお勧めです。

嘔吐下痢症の漢方治療
黄 芩 湯(おうごんとう):発熱、腹痛、嘔吐、下痢。ノロウイルスの第一選択薬。
五 苓 散(ごれいさん):喉の渇き、少し汗ばむ傾向、尿が少ないのを目標に。
      小児のロタウイルス感染症に有効。微温湯に溶かして注腸することもある。
葛 根 湯(かっこんとう):首や肩のこわばりを伴う場合の下痢に。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):心窩部痛や心窩部のつかえがあり、
      腹鳴があってお腹がゴロゴロとなる場合に。