漢方医学では、めまいは水分代謝が悪い状態(水毒)と考えることが多く、五苓散や苓桂朮甘湯、真武湯などが頻用されます。今回は、ストレスが関与するめまいについて概説します。
漢方医学の考えで「肝」というものがあります。肝は現代西洋医学でいう肝臓とは異なり、自律神経を調整する働きがあると考えるため、ストレスや不眠、アルコール多飲などで肝の正常な働きが阻害されると自律神経が乱れ、めまいが生じます。治療は、「柴胡」を含む漢方薬で行いますが、体格が中等度以上の人であれば男女を問わず柴胡加竜骨牡蛎湯、体格が華奢な人であれば男性には柴胡桂枝乾姜湯、女性には加味逍遥散を用いることが多いです。さらに、めまいが起こるのではないかと不安になっている場合は、半夏厚朴湯が有効なことが多く、単独で用いたり、半夏厚朴湯+柴胡加竜骨牡蛎湯というように、柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯、加味逍遥散と併用したりします。
めまいを訴えて来院されても、検査で異常を認めない方がいらっしゃいます。そのような方で、強いストレスがかかっている場合は、上記の方剤を試してみてはいかがでしょうか?