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主な病気・疾患について

虚血性心疾患

虚血性心疾患とは

 心臓は、心筋という筋肉で構成されており、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。この心筋に酸素や栄養を含んだ血液を送り込んでいるのが、心臓のまわりを通っている冠動脈という血管です。

 「虚血性心疾患」とは、この冠動脈が動脈硬化などの原因で狭くなったり、閉塞したりして心筋に血液がいかなくなること(心筋虚血)で起こる病気です。冠動脈が動脈硬化などで狭くなると、血流が悪くなって心筋に必要な血液が不足し、胸が痛くなります。これが「狭心症」です。血管内のプラークが破れて血管内に血栓ができ、冠動脈が急激に閉塞すると心筋が壊死に陥り、「心筋梗塞」となります。壊死の部分が大きくなると命に関わる危険な状態となり、緊急の治療が必要です。
 厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、2015年1年間の死因別死亡総数のうち、心疾患(高血圧性を除く)は19万6, 113人で、死因別死亡数全体の15.2%を占めており、悪性新生物(がん)に次いで2番目に多い数字でした。心疾患のうち、「急性心筋梗塞」は3万7,222人、「その他の虚血性心疾患」は3万4,451人でした。心疾患で亡くなる方の3割以上を虚血性心疾患が占めています。 虚血性心疾患の主な危険因子(原因)としては、糖尿病、高血圧症、脂質異常症(高コレステロール血症)、肥満などといった生活習慣病と喫煙が挙げられます。これらの疾病を早期に治療することで虚血性心疾患の発病を予防することが大切です。

主な症状

 狭心症の痛みは、「胸が締め付けられるように痛くなる」「押さえつけられたようになる」と表現されます。痛む部位は前胸部、みぞおち、肩、頸などです。歯や喉が痛むこともあります。痛みの続く時間は短く、多くは数分までです。心筋梗塞では激しい痛みが30分以上続きます。

主な治療法

薬物治療

 血液をサラサラにして心筋梗塞を予防するための抗血小板剤や、動脈硬化の進行を抑えるための高コレステロール治療薬、心臓の負担を減らすβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、血管を拡張させる硝酸薬(ニトログリセリン)などがあります。


カテーテルインターベンション(PCI)

 手や足の付け根の血管から冠動脈の狭い部分までカテーテルを挿入し、バルーンを持ち込んで狭い部分を拡張させる治療です。カテーテル治療は道具や技術の進化によりここ10年で大きく進歩しました。特に、薬剤溶出ステントの進歩により再発率が劇的に減少し、重症例に対してもバイパスより低侵襲で患者さんへの負担が少ないPCIが選択されるようになってきています。
 当院でもこのような時代の流れに取り残されず、最先端かつ質の高い医療を飯塚地区で提供できるよう、学会やライブデモンストレーションに積極的に参加し、診療レベル向上に努めています。また、治療難易度の高い慢性完全閉塞病変などへのPCIでは、国内でもトップクラスの技術者をお招きして技術指導いただくワークショップも行い、さらなる治療技術向上に努めています。


冠動脈バイパス手術

 カテーテル治療が困難なほど重症な場合や、カテーテル治療後に再発を繰り返す場合は冠動脈バイパス手術を選択します。冠動脈バイパス手術は心臓血管外科医が担当します。冠動脈バイパス術は、冠動脈の狭い部分には手をつけず、身体の他の部分の血管を使って狭窄部分の前と後ろをつなぐ別の通路(迂回路:バイパス)を作成して、狭窄部を通らずに心筋に血液が流れる道をつくります。

地域の医療機関の皆様へ

 虚血性心疾患の検査として、近年ではマルチスライスCT検査での冠動脈評価の精度が向上し、外来で冠動脈の解剖学的な評価が可能になりました。当院では、2018年から256列CTへと更新し、従来の64列では困難であった不整脈症例でも冠動脈評価が可能となりました。複数の危険因子があり胸部症状の訴えがある方など、外来で検査が行えますのでご紹介いただければ施行致します。

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