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治療法 Pick up

MitraClip(経皮的僧帽弁接合不全修復術)
僧帽弁閉鎖不全症のカテーテル治療

対象疾患

僧帽弁閉鎖不全症

 僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の左心房と左心室の間にある大きく2枚からなる僧帽弁がうまく閉じなくなり、心臓(左心室)が収縮したときに左心房に血液が逆流してしまう病気です。
 この血液の逆流により、左心房と左心室に負担がかかり、心臓のポンプ機能が損なわれていきます。症状は、かなり進行してからでないと自覚症状を感じにくく、進行して肺や心臓に負担がかかるようになると、運動時の息切れ、咳(心臓喘息)などが現れ、やがて安静時の息切れや呼吸困難を感じるようになります。また、心房細動という病気を合併しやすく、動悸やめまい、胸痛なども感じるようになり、脳梗塞を起こす危険も増大します。
 症状の出方には個人差があり、僧帽弁閉鎖不全症とわかってから長い時間をかけて徐々に進行する場合もあれば、急激に悪化して重症の心不全に陥ってしまう場合もあります。

MitraClipとは

 MitraClipは外科的治療が困難な重度の僧帽弁閉鎖不全症の患者さんのための、低侵襲な経皮的僧帽弁接合不全修復システムです。
 僧帽弁の前尖と後尖をクリップで挟み込み、弁を引き合わせることにより僧帽弁の逆流を少なくするカテーテル治療で、ヨーロッパでは2008年に、アメリカでは2013年に承認を受け、これまでに50か国以上で6万人以上の治療実績があります。国内では2018年4月から保険適用となった新しい治療法です。

治療法

 実際の治療は全身麻酔下で行い、経食道心エコー図検査で心臓や弁の状態を確認しながら進めていきます。足の付け根の静脈(大腿静脈)からカテーテルを右心房まで挿入した後に専用の針で右心房と左心房の間にある壁(心房中隔)に穴をあけてカテーテルを左心房まで進めます。カテーテルの先端についたクリップを僧帽弁の逆流部位に持ち込み、クリップでつかみます。逆流が減っていることを確認してクリップを留置します。逆流が残存して いる場合はクリップを置き直すことが可能で追加のクリップを留置することもできます。留置後、足の付け根を止血し治療が終了となります。治療時間は3~4時間ほどで、合併症等がなければ1週間程度で退院が可能です。

メリット

①患者さんの身体への負担軽減

カテーテルを使ってクリップを患者さんの心臓に留置するため、胸を大きく切開することもなく、また心臓を止めることもなく治療を行うので身体への負担が少ないのが特徴です。

②外科手術が行えない患者さんに対しても治療が可能

ご高齢のため体力が低下している、心臓以外の併存症のため外科手術が行えない、もしくは心臓の余力がなく手術リスクが高い患者さんに対しても、弁の形態が適していれば治療が可能です。

③基本的に術中の輸血は不要

大きく切開することがありませんので、通常輸血なしで施行することができます。

④入院期間の短縮

身体への負担が少なく治療を行えることで入院期間が短くなり、早期社会復帰の実現が可能です。

地域の医療機関の皆様へ

 飯塚病院も、2022年春よりMitraClip導入施設に認定され、トレーニングを開始いたしました。そして、2022年12月、無事に初回症例を成功することができました。これまで治療が難しいと考えられてきた心不全患者さんへの新しい治療戦略として、今後も安全に実施できるように、循環器病センター、ハートチーム一丸となり、全力を尽くして治療を行っていきます。お悩みの患者さんがいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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