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MICRA(リードレスペースメーカ)

MICRA(リードレスペースメーカ)とは

 2017年10月より、世界最小のペースメーカであるリードレスペースメーカ(Micra R)が当院でも使用可能となりました(図1)。


徐脈性不整脈とペースメーカ

 心拍数が遅すぎるために、「失神」や「全身倦怠感などの心不全症状」を起こす不整脈を、徐脈性不整脈と呼びます。症状を伴う場合は、永久ペースメーカによって心拍数の安定化をはかる必要があります。

リードレスペースメーカ

 従来のペースメーカは、左前胸部に本体を植込み、静脈を経由して心臓内部に「リード」と呼ばれる電線を留置する必要があります(図2)。そのため、リード断線や老朽化、血管の閉塞といったリード関連の問題と、左前胸部の傷やペースメーカ本体の膨らみなどの美容上の問題が生じます。さらに、ペースメーカに感染症を起こすと、血管に癒着したリードを含むすべてのシステムを抜去しなくてはならないため、開胸手術やレーザーでの手術が必要となります。

 これらの弱点を克服するために開発されたのが、リードレスペースメーカです。本体はカプセル型で、「リード」と呼ばれる電線がありません。バッテリーと刺激電極は一体化され、1.75g、1ccまで小型軽量化されています。電池寿命は約10~14年で、MRIの撮像が可能です。植え込み時は、足の付け根の大腿静脈から専用のカテーテルシステムを用いて、右心室の中隔心筋壁にフックで固定します(図3)。このシステムでは胸に傷や本体のふくらみがないため、ペースメーカ本体を意識せずに生活することができます。
 一方で、まだ問題点も残されています。リードレスペースメーカは心室しか刺激できないため、対象疾患が限定されています。(適応:徐脈性心房細動や一部の洞不全症候群)今後、システムの改良によって、心房もペーシングできるようになれば、もっと多くの患者さんがこのペースメーカの対象になると期待しています。ご不明点がございましたら、担当医までご相談ください。

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