主な病気・疾患について
- 心不全
心不全とは
心臓は全身に血液を送るポンプです。この働きが不十分な結果、体に症状が現れた状態を「心不全」といい「急性」心不全と「慢性」心不全があります。
急性心不全は急激に呼吸困難や倦怠感が生じた状態で、入院のうえ安静、酸素吸入や点滴注射が行われます。一方、状態が一定している場合を「慢性心不全」といいます。慢性心不全は一つの疾患ではありません。心臓のさまざまな病気(高血圧性心疾患、虚血性心疾患、心筋症、弁膜症など)によって引き起こされます。近年、急激な高齢化で大動脈弁狭窄症が急増し、問題となっています。
主な症状
心不全の症状は、以下の2つに分けられます。
- 動脈血流低下により全身の臓器に十分な血液が流れないことから起こる症状
疲労感や脱力感、四肢の冷感やチアノーゼ(頬、耳たぶ、手足の指先が冷たく、青色を帯びる)がみられます。 - 静脈に血液がうっ滞することによって起こる症状
食欲不振や息切れ、むくみ(浮腫)が下肢にみられ、むこうずねの下を抑えると指のあとが残ります。また、むくみで体重が増加するので、短期間で体重が増加する場合(1週間で2Kg以上)は要注意です。むくみが肺にくると呼吸困難が起こります。特に、息苦しくて横になれない状態を起坐呼吸といい、重症の心不全の症状です。
主な治療法
慢性心不全は主に、薬による治療が中心となります。アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬は、血圧を上昇するホルモンを抑制し症状を軽くします。β遮断薬は、心臓の収縮力を抑制する薬です。心拍数を遅くして心臓を休ませ、心臓の働きを改善します。これらの薬剤は、寿命を延ばす効果も期待できます。利尿剤は、むくみや呼吸困難の症状改善に効果があります。弁膜症には、カテーテルを使った治療や手術が行われます。また、心筋症には、CRT(両室ペースメーカ)という特殊なペースメーカーで治療を行なっています。
しかし、これら治療だけでは不十分で、生活習慣の適正化や心臓リハビリは同じくらい大切です。当院では、正しい心臓病・心不全の知識を得て頂くために、外来で心臓病教室を行っています。また、外来でも通院心臓リハビリに参加いただき、有酸素運動や筋肉トレーニングを行い、正しい運動習慣の確立を目指しています。また、心不全に伴う呼吸障害(無呼吸症候群)へも専門外来で治療しています。