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治療法 Pick up

PTSMA(経皮的心筋焼灼術)
肥大型心筋症への新たな治療法

対象疾患

閉塞性肥大型心筋症(心筋症の一つ)

 心筋の「肥大」が特徴的な肥大型心筋症の中に、心臓(左心室)の出口が心筋肥厚によって狭くなる疾患を「閉塞性肥大型心筋症」と呼びます。閉塞性肥大型心筋症では、左室流出路狭窄の進行に伴って、強い息切れの心不全症状や、ひどい場合には失神を起こすこともあります。

PTSMAとは

 症状の強い閉塞性肥大型心筋症に対しては、ベータ遮断薬を中心とした薬物療法を行います。
 お薬で症状が改善しない場合や、薬物療法によって一旦は改善していても症状が再発した場合、安静時にも左室内に30mmHg以上の圧較差が残存する場合には、下に述べる非薬物療法を積極的に考慮します。
 主な治療法としては以下の3つが挙げられます。

  1. ペースメーカ植込み
  2. カテーテルによる分厚くなり過ぎた心筋を減らす治療(経皮的心筋焼灼術 PTSMA)
  3. 開心術により分厚くなりすぎた心筋を切除する治療

 経皮的心筋焼灼術 PTSMAは、1990年前後に開発された、カテーテルによる閉塞性肥大型心筋症に対する治療法です。この方法は、カテーテルを足の付け根の動脈・もしくは手の動脈から挿入し、心臓の中でも心筋が分厚くなっている箇所を栄養している冠動脈に、アルコールを注入することで、分厚くなりすぎた心筋を壊死させ、狭窄を解除する方法です。治療法のメリットとしては、開胸を必要とせず低侵襲で治療できる事、ペースメーカなどの異物を植え込む必要がない事、繰り返し治療が可能であることなどが挙げられます。注意点としては、アルコールによって肥大した心筋に心筋梗塞を起こさせるため、心筋梗塞に応じた合併症が生じる可能性があります。また、アルコールを注入する動脈は、しばしば、心臓の刺激伝導系と呼ばれる大きな電線も栄養しており、アルコール注入に伴って刺激伝導系の障害が生じた場合には、ペースメーカの植え込みが必要になることもあります。

 当院では、閉塞性肥大型心筋症に対し、この方法を用いて治療した実績があります。対象の方には、担当医と専門医から事前に説明を聞いていただき、治療方法を自由に選択する事ができますので、詳細については、担当医までお尋ねください。

専門医師

地域の医療機関の皆様へ

 心エコー上、左室流出路狭窄や左室内狭窄(左室中部狭窄)所見のある場合は、積極的にご相談ください。

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