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部長 内田 孝之
TEL 0948-29-8024(外来直通)

診療科の特徴

 当科での治療症例は、①弁膜症、虚血性心臓病を中心とした心臓外科領域、②胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、急性大動脈解離を中心とした大血管領域、③四肢末梢の閉塞性動脈硬化症、動脈瘤、静脈瘤といった末梢血管外科、④さらにペースメーカ、植え込み型除細動器植え込み、心房細動に対するメイズ手術といった不整脈外科まで心臓血管外科全般に亘っています。
 さらに、救命救急センターの活躍に伴い緊急症例の割合が高いこと、高齢者のハイリスク症例が多いことも特徴ですが、心臓血管外科専門医2名を含めた当科専任スタッフのみならず院内各方面からの応援のもと、24時間緊急対応体制で治療にあたっています。 治療方法に関しては、ハイリスク症例の増加に対応すべく極力低侵襲化に心がけており、大動脈瘤のステント治療、小切開心臓手術(MICS)に加えカテーテル大動脈弁治療(TAVI)も導入しております 。
 なお、外来は原則的に完全予約制ですが、外来の予約・問い合わせに関しては、弾性ストッキングコンダクター等の資格や心臓大血管外科全般に専門知識を有する福村看護師がコーディネーターとして、電話予約、相談を受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。 

特色

1.高齢、ハイリスクな大動脈疾患症例の治療成績向上への取り組み

 当科手術症例の高齢化、ハイリスク化は特に大血管症例において顕著に進行しています。これに対し、既存の手技改良に加え、低侵襲である大動脈ステント治療法を導入し、著しい肺機能、心機能低下症例などでも手術適応が拡大しています。制度化されたステント実施認定施設制度についても胸部・腹部とも認定施設資格、指導医資格を取得、本邦で使用可能な全てのデバイスの使用資格を取得しております。
また、2015年より『大動脈疾患治療センター』を併設し、治療レベル、ご紹介アクセスの向上に努めております。開胸開腹での治療と長所短所を比較しつつ最適な治療法の選択を行うよう心がけております。
さらに2018年からハイブリッド手術室で更に低侵襲性、治療精度の向上を図っております。

2.弁膜症の術式改良、治療成績向上

 近年の弁膜症外科治療は早期化の流れにあります。しかしその際にその施設での治療実績を加味しての手術適応決定が行われるようになっております。当科でもこの流れに沿って、僧帽弁閉鎖不全症での形成率向上、低侵襲化を達成すべく小切開心臓手術(MICS)の導入、カテーテル大動脈弁手術(TAVI)の導入(2019年3月開始)など術式の改良に努めています。
特に昨年はカテーテル大動脈弁治療(TAVI)の施設認可を得て、治療を開始、主に85歳以上の超高齢者が対象ですが、良好な成績を得ております

3.手術症例へのチーム医療の徹底

 チーム医療の第1は循環器内科との共同での治療方針検討、さらに合同手術です。手術では昨年度導入のカテーテル大動脈弁挿入術(TAVI)以外にもペースメーカ、ICDなどの不整脈デバイス手術、下肢動脈硬化へのhybrid(カテーテル+バイパス)手術など多くの症例で循環器センター総力を挙げての合同手術を行っています。
チーム医療の第2がさまざまなコメディカルとの協力です。当科手術症例の高齢化、ハイリスク化に対応するもう一つの取り組みとして手術全症例に入院時より医師・看護師はじめ理学療法士、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーと全ての職種が参加した回診、カンファを中心としたチーム医療を行っています。手術治療そのものに加え、術後超早期からの365日リハビリ、入院中の栄養服薬指導、退院後の生活支援等、早期回復、復帰へ向けたあらゆる方面からの治療支援を、チームとして有機的・総合的に実施しています。

4.安全な専門外来診療の構築

 当科の外来診療において、適切なトリアージ、ドロップアウト防止は患者さんの生命予後を大きく向上させます。
現在、当科外来では待ち時間ゼロ、新患受診前の急変ゼロを目指した、トリアージに基づく電話予約システムを取り入れています。専門外来についても心臓手術外来、大動脈瘤外来に加え、100%フォローを目指した心臓ペースメーカ専門外来システムの維持改善に取り組んでいます。加えて、カテーテル大動脈弁治療、小切開心臓手術の開始に伴い毎週木曜日に低侵襲心臓手術外来を開設いたしました。これらの外来はすべて予約制ですが、専任看護師が各ガイドラインへの習熟、患者状態把握の上での予約マネージメントを行うと同時に、ペースメーカ外来では電話での再来案内と、遠隔患者管理に取り組んでいます。 また、ペースメーカ外来に関しては院内臨床工学技士の全面協力も非常に重要です。今後もコメディカルも含めて一丸となり、患者安全度の向上をさらに進めていきたいと思います。

5.地域連携の推進と早期発見

 現在、当科には院内外から多くの患者さんをご紹介いただいています。
当科は完全予約制ですが、科の特性上、緊急度の高い患者さんは期を逸さない対応も必要と考えます。このため専任看護師(福村)の協力のもと、各方面からの問い合わせに関しては平日9時から17時は外来専任看護師、夜間休日は当科当直医師と受付窓口の明確化、一本化をはかり、365日24時間速やかな対応を心がけています。
また、待機例と破裂急患例で手術成績の著しく異なる大動脈瘤をいかに早期に見つけ治療するか、更に積極的に挑戦していきたいと思います。
さらに、高齢化に伴い増加しつつある弁膜症に対して循環器内科と共同でカテーテル大動脈弁治療を開始しましたが、治療の適切なタイミングなど地域に向けて今後より積極的な情報発信をできればと思っています
今後も、循環器センター内はもとより院内外各方面との交流、協力を深めて安全な治療が提供される地域作りを目指していきたいと思っています

 一人の人間として患者さんに接し、よりよい人生となるための医療を提供する、それは時には最先端の高度医療かもしれませんが、時には一言の対話かもしれません。マニュアルを超えて、画一的でない、患者さん一人一人に合わせた最適な治療の提供を目指して日々勉強を重ね技を磨く。そんな心臓血管外科チームであり続けたいと思います。よろしくお願いいたします。

心臓血管外科News&Topics

  • 2006年から行ってまいりました大動脈瘤のステント治療は現在通算550例を越えました。胸部、腹部の各種デバイスの進歩もあり、これまで適応外とされていた症例の一部にも治療が可能となりました。さらに2019年稼働開始したハイブリッド手術室では更に複雑な手技も可能となります。
  • 弁膜症治療、特に僧帽弁疾患では、極力自分の弁を温存する弁形成術を目指し、また心房細動合併症例では積極的に不整脈手術も併施することで術後のQOLの向上を目指しています。また2019年より、症例によっては右腋窩部の小切開のみで僧帽弁手術を行う小切開弁膜症手術を導入しております。今後安全性を維持しつつ、徐々に適応疾患、症例の拡大を図る予定です。
  • 大動脈弁膜症について、開胸手術困難な高齢者症例に対するカテーテル弁置換(TAVI)を開始しました。
  • 心臓のバイパス手術においても不整脈、弁膜症併存症例は積極的に合併手術を行い、さらに術中の超音波検査、ICG注入などによるグラフト評価を行い、長期成績、予後の改善を目指しています。
  • 致死性不整脈に対する植込型除細動器(ICD)に関して、心臓へのリード線の植え込みが不要で、長期的に、リード合併症の少ない皮下植込み型ICDの施設認定、指導医資格を取得、植え込みを開始しております。適応など術前の診察、準備が必要ですが、詳しくは当科外来へお尋ねください。
  • 手術症例に対する徹底したチーム医療を実践しています。医師を中心に看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーが一体となって心臓外科手術治療チームを結成し、総合的、有機的な周術期治療を行っています。
  • 外来での待ち時間ゼロ、そして患者さんにとって安心の受診環境の両立を目指し、専任の看護師による適切なトリアージや電話による予約・相談を行うなど、真の患者サービスと安全性の向上に努めています。
  • 保険診療適応となった下肢静脈瘤レーザー治療、日帰り手術ですが、最新機種を導入し、痛みの軽減、適応拡大を図っています。詳しくは当科外来へお尋ねください。

 まずは安全に、その上でなるべく低侵襲に、そして質を向上し、治療の可能性を拡大するという基本姿勢を変えず、今後も努力を続けていきたいと思います。

診療実績

外来担当医師