飯塚病院 外科

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各疾患のご説明と当科の取り組み

大腸がん

大腸がんとは

 大腸がんは、長さ約2mの大腸(盲腸・結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。大腸粘膜にできた良性のポリープの一部ががん化して発生したものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。粘膜の表面から発生したあと、大腸の壁に次第に深く広がっていき、進行するにつれてリンパ節や肝臓、肺など他臓器へ転移します。
 大腸がんの原因は、生活習慣では飲酒や肥満が、食生活では赤肉(牛・豚・羊の肉)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取増加が指摘されています。また、親から子への遺伝により発生することもあります。
 早期の段階では自覚症状はありませんが、多い症状としては、血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、原因不明の体重減少などがあります。
 食生活の欧米化などにより大腸がんは増加の一途をたどっていますが、早期に発見されれば治療の効果が期待できるがんの一つです。定期的(数年毎)に人間ドック、中でも大腸内視鏡検査を受け、早期診断・早期治療に繋げる、また、生活習慣の改善(禁煙、節度ある飲酒、バランスの良い食事、適正体重の維持、適度な運動 など)に取り組み、大腸がんから身を守るよう努めましょう。

当院での大腸がん治療

 大腸がんの治療法には、内視鏡的治療・外科的手術・化学療法(抗癌剤治療)などがありますが、大腸がんの進行状態により選択できる治療法が異なります。
 地域がん診療連携拠点病院である飯塚病院では、治療経験豊かなスタッフを中心に、主に内視鏡的治療・外科的手術・化学療法に加え、放射線治療・緩和ケアといった治療を行っています。

  • 内視鏡的治療
    大腸カメラを使用して、がんを体の中から取り去る治療法で、主に早期の大腸がんに対して行われます。当院では、国内のガイドラインに沿った基準・方法を用いて、消化器内科が治療を担当しています。
  • 外科的手術
    内視鏡的治療の適応外となった進行状態の大腸がんに対して行われます。進行状態により、がんのある腸管だけでなく、がんの影響を受けたリンパ節や他臓器もあわせて切除する場合があります。
    当科では、体への負担が少ない内視鏡手術を積極的に行っており、手術後の回復も早く、質の高い外科治療が実現できています。
  • 化学療法
    主に外科的手術後の補助治療として、また、多臓器に転移がある場合や、周囲臓器に広がりがあり手術で切除できないと判断された場合の治療として行われます。ほとんどの場合、外来での通院治療が可能です。
    現在では、抗癌剤治療にも複数の方法が開発・証明されるなど進化していますが、抗癌剤のみでがんを治癒させることは難しく、進行を緩やかにすることでの延命効果や外科的手術との併用などの目的としても適用されます。
    当科では、日本がん治療認定医機構が認定する「がん治療認定医」を中心に、他科の医師・看護師・がん薬物療法認定薬剤師などとチームとなり、がんの薬物治療においてもチーム医療の主体となって治療を行っています。
  • 放射線治療
    放射線治療は外科的手術と同じく、がんとその周辺のみを治療する局所治療で、治療したい範囲に放射線を当てて(照射して)、がんを死滅させる治療です。放射線はがん細胞だけでなく正常な細胞にも同じ作用(死滅させる)を施しますが、正常細胞はがん細胞より障害の程度が軽く、放射線照射前の状態に回復することがほとんどです。
    放射線治療は、単独で行うだけでなく、場合によっては、外科的手術や化学療法などと併用して適用されます。
  • 緩和ケア
    末期症状に対する苦痛の緩和に限らず、がんと診断された時より精神的な苦痛の緩和も含めてケアを行うものです。
    当科を最初に受診された際には、がんであることを告知されていない方もおられるため、精神的な苦痛に関するケアから始まります。当科では緩和ケア科とともに患者さんやご家族へのケアを行っております。

 当科では、まずは早期発見、早期治療、そして、できる限り患者さんにやさしい低侵襲治療(体への負担が少ない治療)を心がけるとともに、進行した状態にある場合に関しても、集学的な治療を駆使して再発を防ぎ、さらに生活の質が維持できるような治療を行っていきたいと考えております。

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