飯塚病院 中央検査部

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心電図検査

はじめに

 私たちの心臓は、常に収縮拡張を繰り返しています。このリズミカルな動きのことを拍動といい、心臓はこの拍動によって全身に血液を循環させるポンプの働きをしています。

心電図検査

  • 心臓は心筋からできている臓器で、洞房結節細胞から活動電位が発生しリズムをとります。その刺激が伝導し心臓の心筋を興奮させ、心臓の拍動がおこります。こうした心臓全体の電気的活動の興奮過程を波形に表したものが心電図です。心電図波形を判読し、心臓全体の状態から疾患の発見、診断、評価を行います。
  • 適応
    不整脈の判断及び評価、心筋異常の診断(虚血性心疾患、肥大、心筋症、先天性疾患など)、心室内伝導障害の評価、電解質異常、内分泌障害、自律神経障害、薬剤の影響、ペースメーカーの作動評価 など
    心電図の診断的有用性の高い疾患は、不整脈と虚血性心疾患です。他の疾患については、心臓疾患診断の一つの手段とはなりますが、心電図だけでは診断が困難であり、臨床症状や他の検査所見から総合的に判断する必要があります。
  • 検査方法
    ベッドに仰臥位に寝て安静にしてもらい、両手首・両足首の4ヶ所(四肢誘導)、胸に6ヶ所(胸部誘導)の電極を装着して心電図を記録します。必要に応じて、胸部誘導を追加して記録することもあります。記録時間は10秒程度のため、不整脈診断には不十分なことが多く、追加で3分間記録することもあります。
    非発作時の狭心症や不整脈などの心疾患では、心電図変化が認められないこともあるため、検査時の心電図が正常だからといって異常がないとは言い切れません。症状はあっても心電図異常が認められない場合、また心電図異常が発見された場合は、負荷心電図やホルター心電図、心臓超音波などの検査が検討され、それらの結果を参照し、疾患の診断、治療効果の判定が行われます。

ホルター心電図

  • 心電図を24時間記録することによって、発作性の不整脈や狭心症などの検出、診断に有効です。特に症状がある場合に心電図異常を伴うかどうか、日常生活下(食事、排泄、運動、喫煙、睡眠、ストレスの影響など)での不整脈の検出や、心筋虚血などの評価、また無症状時の心電図変化などの検出に有効です。
  • 適応
    自覚症状の評価、不整脈の定性的・定量的診断、虚血性心疾患の診断、薬剤の評価、人工ペースメーカーの作動評価・経過観察、心拍数の観察、リハビリテーションの指導・予後の判定 など
  • 検査方法
    胸に心電図の電極を貼り付け、小型軽量のホルター心電計を携帯し、24時間心電図を記録します。普段通りの日常生活が可能ですが、入浴はできませんので注意が必要です。心電図を記録している間、行動の内容や自覚症状の有無(動悸、息切れ、めまい、胸痛など)を時間と共に記録してもらいます。翌日ホルター心電図を取り外し、検査室で心電図データを解析します。

運動負荷心電図

  • 主に虚血性心疾患の診断、および心機能評価を目的として実施されます。虚血性心疾患に属する労作性狭心症の患者は常に胸痛、心電図異常を呈しているのではなく、狭心症発作が起こってはじめて狭心痛や心電図異常をきたします。運動負荷心電図は、運動を行うことで心臓に負荷を与え、心電図がどのように変化するかをみることによって、潜在している心筋虚血、不整脈などの評価をするのに適している検査法です。
  • 適応
    虚血性心疾患(労作性狭心症など)の診断、不整脈の評価、心機能評価、治療効果および予後の判定、心疾患患者の段階的なリハビリテーションへの応用、運動耐用能 など
  • 検査の種類、方法
    [1]マスター2階段負荷試験一定強度の運動を一定時間負荷する単一段階法です。凸型の2階段を定められた標準昇降回数・速さ・時間で昇降します。運動負荷後前後の心電図や血圧の変化、自覚や他覚症状の有無を比較評価します。評価昇降回数は、性別、年齢、体重で決定されます。

    [2]トレッドミル負荷試験
    運動強度を一定時間ごとに増加する多段階法です。ベルトコンベア状の検査装置の上を歩いて、心電図や血圧の変化、自覚や他覚症状の有無をモニタリングしながら比較評価します。循環器医師の立ち会いのもと検査を実施します。ベルトコンベア状の速度と傾斜によって運動量を設定でき、運動目標心拍数が、患者に対する運動強度のよい指標となります。

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