主な疾患・治療について
間質性肺炎
間質性肺炎とは
間質性肺炎とは何かしらの原因で肺が硬くなっていき、次第に呼吸がしづらくなったり、咳が出たりする病気です。
症状・原因・経過について
細菌やウイルスが肺に感染して起こる肺炎では、熱や咳、痰を伴うことが多いですが、間質性肺炎ではそういった症状はあまりありません。肺の傷がゆっくりと(数ヶ月から年単位で)拡がり傷が固まっていくため、無症状か軽い息切れ、痰を伴わない乾いた咳を生じたりします。 特に初期の頃は「歳のせい」「タバコを吸っているせい」と思われがちで、病院受診が遅れ、進行した状態で診断される方もいらっしゃいます。
この病気は、背中側の肺から拡がっていくため、初期にはレントゲン検査でも分かりづらく、背中の聴診をしたとき、傷のある肺が膨らむときの「パチパチ」「パリパリ」とした音で気付かれることもあるため、気になる方は、レントゲン検査だけではなく、医師の診察を受けていただくことも大切です。
間質性肺炎が疑われた場合は、これまでの生活の様子(喫煙の有無、職業の内容、ご自宅の環境、ペット飼育の有無など)やこれまでに罹ったことがある病気や内服しているお薬など、さまざまな情報を収集させていただき、間質性肺炎になりうる原因がないか、確認させていただきます。筑豊地域では、以前炭鉱で働かれたり、粉塵を多く吸入されたことがある方に、この間質性肺炎が隠れていることがあります(「塵肺症」の中のひとつのタイプと考えられます)。
ほかに、関節リウマチなどの膠原病に罹患している方、漢方薬を内服している方、さらに身内に間質性肺炎を患った方がいらっしゃる方の中に、この病気が隠れていることがあります。
さまざまな情報を収集させていただいてもなお、原因が同定(特定)できない方がいらっしゃいます。その場合は「特発性(原因不明)間質性肺炎」と診断され、国の指定難病に該当します。
間質性肺炎は、進行してしまうと、日常生活でも酸素投与が必要になったり、急激に呼吸状態が悪化したり、肺がんを併発される方もいらっしゃいます。以前はこの病気に対する有効な治療方法はありませんでしたが、最近では、病気の進行を緩やかにすることが期待できるお薬が開発され、実際にその薬を内服され、効果を実感されている患者さんもいらっしゃいます。こういったお薬の適応があるか検討するために、あるいは呼吸状態や肺がんの定期チェックのために、呼吸器内科の定期的な受診が大切です。
以下の項目に該当する方は、かかりつけの医師に相談するか、呼吸器内科を標榜している病院の受診を考えましょう。
- 40歳以上の方で、最近息切れや咳(特に痰を伴わない咳)が気になりだした方
- 血縁関係のあるご家族の中に「間質性肺炎」を患った方がいらっしゃる方
- 関節リウマチなどの膠原病を患っている方(かかりつけの先生に、間質性肺炎がないか確認してみてください)
40歳以上の方で、最近健康診断や胸部レントゲン検査を受けていない方は、一度レントゲン検査を受けることをおすすめします。
病気の詳細が知りたい方は、以下のリンクもご参照ください。
- 一般社団法人日本呼吸器学会ホームページ「呼吸器の病気 D-01 特発性間質性肺炎」
- http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=20
- 難病情報センターホームページ「特発性間質性肺炎(指定難病85)」
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/156
間質性肺炎 専門外来
当院では、間質性肺炎の患者さんを対象とした専門外来を設けており、病気に関しての詳しい説明、病状の確認、治療方針に関しての検討を行っています。以下のフローに則っています。
- 問診、診察:情報収集、背中の聴診
- 採血、画像検査:採血では膠原病などのチェックも。胸部レントゲンとCT検査を行います
- 間質性肺炎の状態の評価:呼吸機能検査(肺活量検査)、心臓検査、歩行検査、肺の硬さの検査、体脂肪や筋肉量の検査など
※肺のなかの細胞の状態をみるために肺のカメラ(気管支鏡検査)を行うことがあります
※手術で肺を一部切除して切除した肺を顕微鏡で観察する病理検査を行うこともあります
- 治療の検討:[1]~[3]を定期的に行いながら、治療で得られるメリットとデメリットを考慮しつつ、そのときの病状に応じた治療方針を検討していきます。
- 【外来日】
- 日時:毎週木曜日14:00~
場所:呼吸器内科外来
完全予約制ですので、かかりつけの先生に「間質性肺炎専門外来」受診希望の意向を
お伝えいただき、まず呼吸器内科外来を受診されてください。