初期研修医

先輩の声

柴山 道登

柴山 道登医師
柴山 道登(2022年入社)

大学時代まで三重県で暮らした私にとって、九州地方での勤務はもちろん、地元を離れて生活すること自体が初めての経験でした。縁あって飯塚病院で臨床研修を行うこととなり、期待と不安を抱えて最寄り駅のホームに降りた日のことをよく覚えています。全く新しい環境での社会人生活は予想外の苦労や失敗も多く、理想とのギャップを感じて思い悩むこともありました。

当初は話をするにも慣れない方言や馴染みのない地名ばかりで、患者さんから必要な情報を聞き出すだけで一苦労でした。新人医師として知識技能の不足は言うまでもなく、周囲に迷惑や心配をおかけしながら、できることを1つずつ増やしてきました。辛抱強く診療に付き合っていただいた患者さん、いつも熱心に指導してくださる先輩医師やスタッフの皆さん、大勢の人のおかげで今日の自分があります。特に同期の研修医の存在はやはり大きいものです。全国からルーツや背景の異なる18人が集い、切磋琢磨しあいながらともに時間を過ごしてきました。

飯塚病院は、100年超の歴史を有する筑豊地域の中核病院です。重症度や内因外因の別なく、様々な困難を抱えた住民の方が訪れます。病院や自分を信頼して体を委ねていただくたびに、責務の重さに背筋が伸びる思いです。大学病院のない当地域において、当院は365日24時間の急性期医療と、幅広い専門医療に対応できる体制が整っています。患者さんが来院してから日常生活に戻るまで、ほとんどの診療が院内で完結するため、疾患概念や地域特性について実践的に理解を深めることができています。また各自が学びを分かち合う「シェアの精神」という文化が息づいています。先生方が労を厭わず、当然のように教育に時間を割いていただく姿勢には頭が下がります。私も同期や後輩へシェアすることで、新しい発見を得ることも多いです。

臨床研修は修了し、同期もそれぞれの道を歩むことになります。必ずしも順調なだけでない研修生活でしたが、医師人生においてかけがえのない時間であったと確信しています。改めて恵まれた縁に感謝しつつ、修了後も自ら学び続ける姿勢を追求していきたいと思います。