妊娠中の検査で子宮筋腫が見つかった! 妊娠・出産への影響は? Vol.2

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  • 2017.07.21
目次

     前回【Vol.1】では、子宮筋腫の概要と妊娠への影響を紹介しました。今回は、妊娠中に子宮筋腫の治療は可能か、子宮筋腫の出産への影響、出産後の管理についてご紹介します。

    妊娠中に子宮筋腫の治療は可能?

     妊娠期間中には、積極的な筋腫の治療は行わず、対処療法や経過観察で様子をみることがほとんどです。
     筋腫の変性による疼痛や炎症症状が強い場合、筋腫のみを取り除く手術を検討することもありますが、これも妊娠12週以降は行うことができません。
     通常は対症療法で症状をコントロールしつつ、慎重に妊娠経過を観察していきます。

    ドクターより

    子宮筋腫は出産にどんな影響を及ぼす?

     出産の際、子宮は赤ちゃんを押し出すために収縮を始めますが、子宮筋腫の数が多いと子宮の収縮が起こりづらい微弱陣痛となることがあります。
     また、子宮筋腫のせいで赤ちゃんが逆子になったり、出産時に赤ちゃんが産道へ入りづらくなったりすることもあります。
     こうしたケースでは、母体と赤ちゃんの安全面を考慮して帝王切開が行われます。
     しかし、全てのケースで帝王切開が必要という訳ではありません。子宮筋腫のサイズが小さい場合や、子宮筋腫の位置が分娩に影響がないと判断された場合などは自然分娩も可能です。
     超音波検査で赤ちゃんの胎位や頭の高さなどを確認し、最終的に帝王切開か自然分娩かを決定します。

    出産後も慎重な管理が必要

    イメージ,妊婦

     帝王切開、自然分娩を問わず、子宮筋腫がある場合の出産で気を付けておきたいのが、出産後の出血です。
     出産後、子宮は強く収縮することで元の大きさに戻ろうとします。しかし、子宮筋腫がこの収縮を妨げると出血が治まらず、大出血となることもあります。この場合、子宮収縮剤で収縮を促したり、輸血で失った血液を補うこともあります。
     出産前後に何らかのリスクが想定されるケースでは、周産期医療体制が整っている施設での出産を勧められることもあります。

    (飯塚病院 産婦人科 監修)

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    女性の病気 , 妊娠・出産
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    編集者より
    子宮筋腫が妊娠や出産に与える影響は人それぞれ違います。医師に相談しながら治療を進め、安心して妊娠・出産に向かえるようにしていきましょう。

    監修: 飯塚病院 産婦人科

    当科では、妊娠や分娩はもちろん、良性・悪性の婦人科腫瘍、不妊症や内分泌異常を対象とした不妊内分泌領域、すべてに対応しています。また、筑豊地域唯一の総合周産期母子医療センターとして、ハイリスク母体搬送の受入れ、緊急手術や超早産児の診療にも24時間体制で対応しています。年間の分娩数は約600例、手術症例数は約800例と、福岡県内の大学病院に匹敵する症例数を誇っています。

    女性の良性疾患 手術数:九州・沖縄 第10位(249件/年)
    乳がん 手術数:九州・沖縄 第15位(129件/年)
    (手術数でわかる いい病院2017|朝日新聞出版)

     

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