誰もが希望する地域で安心して住み続けられるまちづくり ~私たちができること、準備しておくこと~(Part1)

  • 2020.09.10
目次

    「2025年問題」という言葉をご存知ですか?

     2025年は、第1次ベビーブームで生まれた団塊の世代が全員75歳以上になる年です。団塊世代が75歳以上になることによって生じうる様々な問題を、『2025年問題』と言います。

     今回のピカラダコラムは2部構成で、「Part1」は「2025年問題」の具体的な内容を、次回の「Part2」では私たちがやっておくべきことについて、お話したいと思います。

    2025年問題まであと5年

     「2025年問題」の中で、医療面では医療資源の不足が大きな問題になると考えられています。高齢化が進むことで認知症や肺炎、脳卒中、寝たきりの原因となりうる骨折などの疾患が急増し、医師などの医療従事者も含めた医療資源が現在の体制では賄えなくなるという怖い試算が国によって出されているのです。
     また、医療以外で特に深刻なのは社会保障費の激増で、年金や医療・介護保険制度などにも大きな影響を与えると予想されます
     2025年まであと約5年です。着々と迫る「2025年問題」に対して、国は次のような対策を講じています。

    対応策!? 地域包括ケアシステムとは

     国は対応策として、日常生活圏域(徒歩30分圏内)ごとの「地域包括ケアシステム」の構築を示唆しています。地域包括ケアシステムとは「要介護状態になっても、自分が希望する住み慣れた地域で暮らせるような、住まい・医療・介護・予防・生活支援を切れ目なく包括的にサービス提供できる体制づくり」のことです。その実際の担い手は、地域住民、医療・介護関係者、行政など、私たち地域で暮らす全ての関係者となっています。地域包括ケアシステムでは、
     ①自助(自らが健康に努める)を大前提としながら
     ②互助(助け合い)
     ③共助(医療保険・介護保険など)
     ④公助(政策として税金により行われる)を組み合わせて、在宅での生活を支えていくことを目指しています。

    人々が希望する地域で安心して住み続けるために

     現在、飯塚地域では、医療介護関係者や行政、民生委員など地域が一丸となって地域包括ケアシステムの構築を進めているところです。今後もさらに超高齢社会の影響で様々な問題が増えていくと予測されていますが、できるだけ早いうちから自分たちの社会の課題を自分事として捉え、皆が出来ることに取り組むことが重要です。
     2025年まであと約5年ですが、実は本当に深刻な問題に直面するのは、第2次ベビーブーム世代の団塊Jr全員が75歳以上になる『2050年』だと専門家の間で危惧されています。いずれにせよ、自分や大切な家族が、希望する地域で安心して暮らし続けるために、今の自分に出来ることを考えてみませんか?

     次回Part2では、サブタイトルにある『~私たちができること、準備しておくこと~』に関する、具体的な準備、取り組みについてお知らせします。

    Part2へつづく

    <参考・引用文献>

     ・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成27年度厚生労働省老人保健健康増進等事業〈地域包括ケア研究会〉地域包括ケアシステムと地域マネジメント(地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業)」2016年度
     ・「地域包括ケアサクセスガイドー地域力を高めて高齢者の在宅生活を支える」2014.9.15発行 株式会社メディカ出版 

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    監修: 飯塚病院

    1918年の開設以降、“まごころ医療、まごころサービス”をモットーに福岡県筑豊地域のメディカルセンターとして診療活動を行っています。
    ベッド数は1,000床以上、診療科数は40以上で、毎日約900人の入院患者さんと約1,800人の外来患者さんを診療しています。地域がん診療連携拠点病院や救命救急センター、災害拠点病院、福岡県総合周産期母子医療センターなどに認定されており、幅広い疾患の診察と治療に当たっています。

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