- 2020.10.20
- 目次
-
前回Part1で、激変が予測される社会では、高齢者のニーズを全て医療保険や介護保険などの公的サービスで支えることに限界があることを説明しました。「共助」や「公助」に頼らない地域にしていくためには自分を含めて皆がいつまでも元気でいられるように、自ら取組むことが大切です。では「私たちができること、準備しておくこと」は、具体的にどのようなことでしょうか?
フレイル予防などで体力の維持・向上に努める
『フレイル』とは聞き慣れない言葉だと思いますが、虚弱の事を指します。フレイルは多面的で、筋力低下など身体の衰えだけでなく、口腔や栄養、認知機能の低下、さらには社会との繋がりの減少までも含みます。多くの人が健康な状態から、このフレイルの段階を経て要介護状態に陥ると考えられています。しかし、フレイルと指摘されたら二度と元の状態に戻れないかというと決してそうではありません。できるだけ早くフレイルに気づき改善することで、元の状態に戻ることもできます。
現在、飯塚市は飯塚病院(筑豊地区介護予防支援センター)と連携しながら、介護予防教室などへの参加者を対象にフレイルの状況を評価できるフレイルチェックを行っています。また同時に、これらのフレイルチェックの運営を手伝うフレイルサポーターを、地域住民から養成する取組みを実施しています(東京大学高齢社会総合機構 飯島勝矢教授の考案したフレイル予防プログラム)。市報に案内が掲載されているので、興味のある方は、ぜひ一度参加してみてください。
地域で役割を持って活動すること
無理をしない範囲で、自分にできる役割を積極的に見つけましょう。仕事は出来る間は続けること、また定年後も自治会やボランティア活動、いきいきサロンへの参加、趣味や遊びのための外出など、「社会参加」の機会を持つことはとても大切です。実際に定年後も地域で活動している上述のフレイルサポーターからは「活動にやりがいを感じ、生きがいにつながっている」といった意見が多く寄せられています。
このように生きがいをもって活動することは、ご自身の健康寿命を延ばすのみならず、豊かな人生を過すために欠かせないものだと思います。
介護保険は“自立”に必要なサービスであることを認識する
介護サービスを利用する際、「いかに多くのサービスを紹介してくれるかが良い支援者の判断基準である」と誤解している方が少なくありません。しかし自ら動く機会を無くすような過剰なサービスは、逆に心身共に自立から遠ざけることにも繋がります。
介護保険はお世話保険ではなく、あくまで“自立”するためのサービスであると、介護サービスを受ける方も、そしてご家族も、正しく認識しておくことが大切です。
元気なうちから最期に備える
実際に多くの方は、事が起きてから今後のことを考えるケースが多いようです。しかし、元気なうちにこそ、意思決定が困難になった場合には延命処置や治療をどこまで望むのか、財産をどうしたいのか、どんな葬儀にしたいのか、最期はどのように過ごしたいのか等の考えを整理しておきたいところです。考えは変わることもあるでしょうし、事細かに決めなくてもよいのです。
大事なことは、日ごろからご家族や周囲の方との間で意向を共有しておく事です。そうすることで万一の時に、自分にとってもご家族や周囲の方にとっても安らかで悔いのない大切な時間を作ることに役立つのではないでしょうか。
<参考・引用文献>
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成27年度厚生労働省老人保健健康増進等事業〈地域包括ケア研究会〉地域包括ケアシステムと地域マネジメント(地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業)」2016年度