- 2020.06.16
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食養生とは、大辞林に「食物の栄養を考慮しながら、病気の予防・治療をはかること」と記載されています。食事内容の変化が体調に大きく影響した事例をご紹介します。
60代の男性が、フワフワするようなめまいのため漢方診療科を受診
真武湯(しんぶとう)という漢方薬を処方し、服用してもらいました。患者さんの感覚として、症状は一番ひどい状態の2割程度で落ち着いていましたが、1年後の5月、初診時のような強いめまいを訴えられました。
突然悪くなったため、何かきっかけがあるのではないかと尋ねてみると、「ゴールデンウィークにバーベキューをした後から調子が悪い」とのことでした。
「その時に何かしましたか?」とさらに尋ねたところ、「立っている時間が長かったのが悪かったのかなあ?」との返答。この方に限らず、患者さんは体に悪いことをしていても、体に悪いとは意識していないことが多いようです。何回かやりとりをする中で、「そういえば、ビールを沢山飲みました」と答えられました。
問診を続けたところ、「暖かくなり、冷たい飲み物(ビール、アイスコーヒー、焼酎の氷入り水割など)をよく飲むようになりました。生野菜や果物は好きで昔からよく食べています」などと体を冷やす食生活が明らかになりました。
漢方薬を変更せずに食生活の指導を行ったところ、めまいは5日後には2割程度に改善し、数ヶ月後には消失しました。
体が冷えていると、症状がなかなか治らないこともあります
漢方では「冷え」の有無を重視します。この方は体が冷えていたため、体を温める漢方薬である真武湯(しんぶとう)を処方していたのですが、体を冷やす食事により漢方薬の効果が弱くなったと考えられます。
体を温める食材(陽性食品)と体を冷やす食材(陰性食品)の一覧を掲載しました。ご参照ください。
めまいには今回の真武湯(しんぶとう)のほかに、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)や五苓散(ごれいさん)もよく使われますので、それぞれのポイントをお示しします。
現代では、夏でも体が冷えやすい!!
現代の日本では、体を冷やす陰性食品の過剰摂取やクーラー、冷蔵庫の普及、運動不足、ストレスなどによって、夏でも体が冷えやすくなっています。本当の冷え症は夏に現れます。冷え症で困っている方やいろいろな症状がなかなか改善しない方は、陰性食品の過剰摂取を控えるなど食生活の改善を考えてみてはいかがでしょうか。