- 2015.12.04
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女性に多い冷え性 万病のもとにも
夏は暑くて冬は寒い、昔はそんな自然な気候の変化の中で、季節に応じた食材や身じたくとともに暮してきました。現代では各家庭でもエアコンが一般的になり、店先の野菜や果物からも季節感が失われています。ほとんどの家庭に冷蔵庫があり、冷たい飲み物・食べ物も欠かさずストックされていますよね。そんな中、若い人にも増えている冷え性、特に女性に多く、2人に1人は冷えを感じているともいわれています。
運動不足、ダイエット、薄着など、その理由はさまざまですが、もともと男性に比べて筋肉量が少なく、熱を産生しにくい女性。寝るときに靴下を脱げないという人も多いのではないでしょうか。体の抵抗力を低下させ、さまざまな不調のもとにもなる冷え性、ふだんの食事で改善できる場合もあるのです。
精進料理と漢方医学のコラボレーション「和漢食」とは?
冷え性やその他の不調を改善する食事として、飯塚病院・漢方診療科では「和漢食」を治療に取り入れています。日本伝統の精進料理や漢方医学の考え方に基づいた「和漢食」、現代の栄養学とは異なる点もありますが、治療食として効果を上げています。和漢食の基本的な考え方は次の6つ。
- 体を温める食材を使う
- 菜食を心がける(動物性たんぱく質は控える)
- 油脂のとり過ぎに注意する(抽出した油は使用しない、揚げ物や炒め物は避ける)
- 加工食品を避ける
(添加物はもちろん、白米・小麦粉も加工した食品とみなし使用しない、主食は玄米ご飯) - 量は控えめに
- 旬のものを食べる
この6つを基本とした和漢食、1日に主食の玄米200~220g、大豆30~50g、旬の野菜300~400g、海藻1皿程度を組み合わせます。薄味に仕上げ、良く噛んで食べることで、食べ過ぎを防ぐこともできます。
体を冷やす・温める 食材のチカラ
和漢食では食材を、体を冷やす「陰性食品」と、体を温める「陽性食品」に分けています。
- 生もの(生野菜、果物、刺身など)
- 冷たいもの(牛乳、ジュース類、アイスクリーム、氷水など)
- 砂糖(ケーキ、あんこ、飴など)
- 酢(酢の物、酢の健康食品など)
その他に、温暖な土地や季節に採れるものや成長が早いもの、地面の上で育つもの、水分を多く含んで柔らかく大きなものは陰性に傾きやすい食材と考えられています。
- 火を通した食べ物(煮物)
- 天日に干したもの(干物、乾物)
- 漬物(古漬)
- 温かいもの
その他に、寒い土地や季節に採れるもの、成長に時間がかかるもの、根菜類、水分が少なく硬くて小さいものも陽性食品と考えられています。また、陰性食品も、煮込んだり干したり漬け込むことで陽性に変化します。