- 2021.08.18
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当院 感染症科監修のもと全5回に渡りご紹介してきたワクチンについて、連載最終回となる今回は、B型肝炎ウイルスに関するワクチンについてです。
B型肝炎ウイルスの特徴やワクチン接種を推奨している対象者について解説します。
B型肝炎ウイルスとは
B型肝炎ウイルスは、感染すると肝臓に強い炎症を起こし、人によっては発症後改善せず慢性肝炎・肝細胞癌に進展します。 このウイルスは非常に感染性が高く、感染者の極微量の血液や体液が皮膚や粘膜へ直接接触するだけでも感染が成立してしまうことがあります。また、人の身体の外で少なくとも7日間は生存することができるなど環境生存性も高く、非常に厄介なウイルスです。その特性から、身体が触れるスポーツなど日常的な接触でも感染の可能性があり、性感染症としての側面も持っています。
B型肝炎ウイルス感染の予防法は
B型肝炎ウイルスにはワクチンが存在します。以前は医療従事者、特に血液を扱う事が感染のリスクであると考えられてきましたが、前述の様に非常に身近な感染症である事が分かってきました。このことから現在、全てのヒトが接種すべきワクチン(ユニバーサルワクチン)として国際的に扱われており、一般の方々にも広く接種が推奨されています。
アメリカでは1991年よりB型肝炎ウイルス撲滅の取り組みとして、①産道感染予防のために全妊婦のHBs抗原測定と新生児の曝露後処置、②乳幼児の定期接種、③小児・思春期児のワクチンキャッチアップ※、④リスクの高い成人へのワクチンキャッチアップを開始し、著明な新規感染者の減少を実現しています。
また、日本でも2016年から小児定期接種が開始されており、開始前の世代にはワクチンを接種する、キャッチアップ を行うことが重要です。
※キャッチアップ:推奨されている予防接種をすべて接種できていない人に対して、ワクチンを追加接種すること
そこで、当院感染症科では特に以下の対象者への各種ワクチン接種を推奨しています。
B型肝炎ウイルスワクチンを接種して欲しい方 |
医療提供施設勤務者 |
家族、パートナーがB型肝炎感染者 |
血液、腹膜透析をしている方 |
慢性肝疾患がある方 |
糖尿病がある方 |
B型肝炎流行地域への渡航予定がある方 |
小児期にB型肝炎ウイルスワクチン接種をしていない、または完遂していない方 |
当院感染症科では、B型肝炎ウイルスのワクチン接種に限らず、海外渡航のためのワクチン接種や国内未承認ワクチン(輸入ワクチン)の接種も行っております。
詳しくは当院ホームページ ワクチントラベル外来のページをご覧ください。
https://aih-net.com/depts/kansen/vaccines.php
また、ワクチンに関する解説の1回目から4回目までの内容は下記URLよりご覧いただけます。