- 2018.04.06
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前回【Vol.1】では、突発性難聴の症状や、疲労やストレスが引き金になるケースについてご紹介しました。今回は、突発性難聴の検査・治療の仕方や早期治療の大切さについてご紹介します。
脳卒中や聴神経腫瘍との鑑別が重要
突発性難聴の診察では問診、視診、聴力検査が主に行われます。症状の現れ方が特徴的な疾患のため、発症時からの病歴や病状を聞く問診が非常に重要です。ただし、注意しなければならないのが脳卒中や聴神経腫瘍など脳の病気との鑑別です。特に聴神経腫瘍は突発性難聴と同様に、難聴やめまいの症状を訴えることが少なくありません。そのため、場合によってはCT、MRI検査などの画像診断が必要になることがあります。
薬物療法と安静が治療の基本
突発性難聴の治療は点滴や内服などによる薬物療法が基本となります。
具体的には、
- ステロイド剤:突発性難聴の治療の軸、内耳の炎症をおさえる
- 血管拡張剤:内耳の血流を良くする
- ビタミン製剤:神経を正常に保つ
また、薬物療法のほかにも、高気圧酸素療法(医療用の酸素カプセルを利用して全身の血流を促す)を並行して行う場合があります。
以上のような専門的な治療に加え、突発性難聴は発症前に過度な疲労やストレスを抱えている場合が多いため、安静にして心身の疲れをいやすことも非常に重要です。
発症後早期に治療を開始することが大切
突発性難聴は適切な治療を受ければ約50%の方が症状を改善することができると言われています。しかし、症状が完全に治る人の割合は全体の30%程度で、完治が難しい病気とも言えるでしょう。ただし、再発することはまれと言われており、基本的には一度症状が改善すれば繰り返すことはありません。
突発性難聴は、なにより早期治療が症状改善の大きな鍵となります。発症してから病院を受診するまでの期間が早ければ早いほど治療の効果は高く、良好な結果が得られます。反対に発症から1ヶ月以上経過してしまうと、症状改善が困難となります。
突発性難聴は症状が現れてから48時間以内、最低でも1週間以内に治療を開始することが理想的です。急に耳が聞こえにくくなるなど、これまで感じなかった耳の症状が突然現れたら、速やかに専門科を受診するよう心がけましょう。