中央放射線部 > ご利用の皆様へ > 放射線治療
放射線治療とは手術、化学療法と並ぶがん治療の三本柱の1つです。日本では、がん患者の約30%が初回治療として放射線治療を受けています。放射線治療の目的は、腫瘍に線量を集中させ、周囲の正常組織への線量を極力低減させて、がんを根治させることや、症状を緩和させることです。
当院では、放射線治療装置(リニアック装置)を使用して治療を行う外部照射か小線源治療装置を使用して体の内側から治療を行う小線源治療があります。対象となる疾患は、腫瘍であれば大半が適応となります。外部照射のみによる治療が主ですが、当施設では特に子宮頚部腫瘍に対して外部照射と小線源治療を併用して治療を行う症例もあります。また、Cyber Knifeは定位放射線治療専用の装置であり、体の固定具を使用し、様々な角度から大線量を投与するより高精度な治療も行っています。
放射線治療は、体内の腫瘍の位置に正確に照射する必要があります。また、放射線治療は20~30回以上にも分けて照射しますので、毎回同じ場所に正確に照射するために固定具(頭頸部ではシェルと云います。)や専用の枕や体の固定具などを患者さんに合わせて作成します。照射位置の精度は治療成績にも影響します。
放射線を照射する体内の位置や範囲を決めるために、CT撮影をします。CT画像は放射線の線量分布を計算するため必ず必要となります。また必要に応じてMRIやPET検査なども行います。
治療計画装置という専用のコンピュータで、照射する容積をCT画像を利用して設定します。次に照射の方向、照射野の大きさ、様々な付属器具などを決めて体内の線量分布を計算します。
得られた線量分布から患者さんの腫瘍位置とその他の正常な臓器の線量をさまざまな角度から検討することで、個々の患者さんに毎に最も適した照射角度と照射範囲および照射線量を決定します。
治療計画で決定した照射方法で患者さんに放射線治療を開始します。一般的な放射線治療では、1週間に4~5回の照射を全部で20~30回照射します。
患者さんを放射線治療室内で治療装置の寝台に寝て頂き照射の準備をすることを患者セットアップといいます。このとき固定具(シェル)や専用の枕などを使用して体位の再現性や照射部位を毎回決まった体位になるようにします。
次に照射位置を確認するため、治療装置でCT撮影やX線撮影(リニアックグラフィー)を行い治療計画で決めた位置と合っているか確認します。照射位置の確認が終わった後、照射を行います。
RALSは、主に、子宮・気管支・胆道・食道・直腸などの管腔臓器に発生した腫瘍に対して行われます(腔内照射)。管腔臓器以外にも、舌や骨盤内の腫瘍に対して直接腫瘍内に細い管を刺して、ラルスを利用して治療を行うこともあります(組織内照射)。
当院では、主に婦人科領域の腔内照射に利用しています。アプリケータというCo-60線源の通り道を子宮腔内に留置して固定し、X線透視で位置確認を行ったうえでX線画像を撮像します。撮像したX線画像で治療計画を立案し、必要な線量分布が得られたら、アプリケータを固定したまま治療計画装置で得られた線源の停留位置と停留時間の通りに照射を行います。1回の治療に要する時間は治療計画含めて1時間~1時間30分程度で、照射時間は線源強度により数分~20分前後となります。
放射線治療を安心して受けていただけるように治療装置の品質保証・管理を行っています。各々の点検項目について必要な頻度(毎日・月1回・年1回など)を定めて、計画的に品質管理を行うことが重要です。品質管理の結果は当院の品質管理担当者が確認をして異常がないかを判断します。
当院では1名の放射線治療医、10名(常時8名)の診療放射線技師(その内、放射線治療専門技師4、放射線治療品質管理士3)、看護師、クラークが放射線治療を担当しています。