- 2021.08.04
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前々回より当院 感染症科監修で、ワクチンについてお届けしております。今回は成人対象ワクチンについてです。
成人の方もワクチン接種状況のご確認を!
ワクチンの接種状況は各世代によって異なります。例えば、昭和43年(1968年)以前に出生した方は原則破傷風に対する免疫を持っていません。また、国内の風疹対策は1995年までは予防接種の対象を中学生女子のみとしていたため、2012年~2014年にかけて40~50歳代の男性を中心に風疹が流行しました。その後、2018年にも風疹の再流行を認めたため、国は「東京オリンピックまでに抗体保有率を85%まで引き上げる」ことを目指し、過去に定期接種対象ではなかった1962~1978年生まれの男性を対象に抗体価検査用風疹クーポンを配布しました。風疹への抵抗力が低い方へは、MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)の無償接種を行っており、当院感染症科の外来にも多くの方が来院しています。特に、妊婦が風疹にかかってしまうと、胎児が先天性風疹症候群を発症するリスクがあるため、社会全体でワクチンを接種し集団免疫を獲得することが重要です。風疹に限らず一度ご自身の母子手帳を確認して、ワクチンの接種状況を調べてみて下さい。
ワクチンキャッチアップについて
過去に接種できていないワクチンを接種し、防げる病気を未然に防ぐ事が大切です。このように推奨されている予防接種をすべて接種できていない人に対して、ワクチンを追加接種することを“ワクチンキャッチアップ”と呼びます。当院感染症科では成人対象ワクチンのパンフレットを作成し(図1)、情報提供に努めています。
図1.成人対象ワクチンパンフレット(クリックで拡大できます。)
予防接種を行い、VPD(ワクチンで予防できる病気)をしっかり予防していくことが重要です。親族や知人の方にも是非とも情報提供をして頂き、感染症科 ワクチン・トラベル外来の有効活用をご検討ください。