ワクチンについて

  • 2021.07.14
目次

     最近何かと話題に上がることの多い『ワクチン』。今回より飯塚病院感染症科医師監修のもと、『ワクチン』をテーマに全5回にわたりお届けします。
     

    ワクチンの役割とは?

     健康な人に病気(感染症)を起こす微生物の感染予防には、①微生物を体に侵入させないための予防策(標準予防策、経路別予防策)と②侵入に備えた免疫を獲得するワクチンがあります。
     ワクチンによる予防接種には、感染症にかかることや重症化することを予防するという直接的な効果や、社会において大部分の人間が免疫を獲得することで、集団流行を防ぐ集団免疫効果があります。

     ワクチンで予防できる病気はvaccine preventable disease(VPD)と呼ばれており、現在WHOは25疾患をVPDとして指定しています(表1)。

     表1vaccine preventable disease(VPD)に指定されている疾患

    コレラ、デング熱、ジフテリア、インフルエンザ菌b型(Hib)感染症、A型肝炎、B型肝炎、

    E型肝炎、HPV、インフルエンザ、日本脳炎、麻疹、髄膜筋炎、ムンプス、

    肺炎球菌感染症、百日咳、ポリオ、狂犬病、ロタウイルス感染症、風疹、ダニ媒介脳炎、

    結核、腸チフス、水痘および帯状疱疹、黄熱

    ワクチンの種類は?

     

     日本の予防接種法では、VPD(ワクチンで予防できる病気)の中でもかかりやすい病気や公衆衛生上重要な病気に対するワクチンは、接種が推奨されています。予防接種には法律に基づいて市区町村が行う『定期接種』と希望者各自で受ける『任意接種』があり、定期接種は公費(一部で自己負担あり)、任意接種は自費(自己負担)になります。日本におけるワクチンの現状は表2のとおりです。

    表2 日本における定期接種・任意接種の状況

       感染症の分類 ワクチン名 予防できる感染症
    定期接種(公費) 集団予防を目的とする
    感染症
    (A類疾病)
    Hibワクチン

    Hib感染症(細菌性髄膜炎、喉頭蓋炎)

    小児用肺炎球菌ワクチン 小児の肺炎球菌ワクチン  (細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎)
    B型肝炎ワクチン B型肝炎
    ロタウイルスワクチン 感染性腸炎 
    4種混合ワクチン ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ
    BCG 結核
    水痘(みずぼうそうワクチン) 水痘(みずぼうそう)
    MR(麻疹風疹ワクチン) 麻疹、風疹
    日本脳炎ワクチン 日本脳炎
    HPV(ヒトパピローマウイルス) HPV感染症(子宮頚癌)
    個人予防を目的とする
    感染症
    (B類疾病)

    インフルエンザワクチン(高齢者が対象)

     
    成人用肺炎球菌ワクチン  

    任意接種(自費)

      おたふくかぜワクチン おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
      3種混合ワクチン ジフテリア、百日咳、破傷風
      インフルエンザワクチン インフルエンザ
      A型肝炎 A型肝炎
      髄膜炎菌ワクチン 髄膜炎菌感染症 

     

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    成人で接種が推奨されるワクチンは、年齢や妊娠の有無、免疫不全疾患(感染症にかかりやすくなる病気)の有無、海外渡航歴や海外渡航予定、医療従事者など人それぞれ異なります。

    監修: 飯塚病院 感染症科

    2019年4月に福岡県筑豊エリア初の科として新設されました。

    同7月から開設した専門外来であるワクチン・トラベル外来では、渡航・旅行医学に精通した専門医が、海外渡航者への健康相談、予防接種、予防薬投与などを行っています。

    さらに、渡航者に限らず麻疹や風疹をはじめ、高齢者の帯状疱疹、肺炎球菌、破傷風など地域を包括したワクチンでの感染症予防に貢献しています。

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    子宮頸がんは20~40代の女性に、乳がんは35歳以上の女性に増えているがんです。早期発見につなげるためにも、どちらも2年に一度検診を受けることが、推奨されています。飯塚病院の予防医学センターでは、専門医の読影・診察のもと、乳がん、子宮頸がん、卵巣がんの検診を一度に受けられるメニュー『レディースドック』をご用意しています。

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