妊娠中の腹痛の原因は便秘?流産のリスクや出産に与える影響は? Vol.2

イメージ,腹痛

  • 2017.09.01
目次

     前回【Vol.1】では、妊娠中の腹痛の原因2つ(子宮が引き伸ばされることで起こる腹痛、便秘が引き起こす腹痛)とその内容を紹介しました。今回は、流産の兆候となる腹痛、切迫早産の兆候となる腹痛、常位胎盤早期剥離(早剥)による腹痛などについてご紹介します。

    流産の兆候となる腹痛

     妊娠中の腹痛と聞いて、真っ先にイメージするのが「流産」ではないでしょうか。
     妊娠中で最も流産しやすい時期は妊娠初期(妊娠0週~15週)です。ただ、妊娠初期の頃は妊娠に気が付かないうちに流産してしまっていることも多くあります。ここでは、妊娠中期(妊娠12週~22週)で気を付けておくべき腹痛と、その症状について説明します。
     妊娠中期の流産は後期流産とよばれています。
     流産のリスクがある場合は、下腹部痛と同時に不正出血がみられるケースが多くなっています。また、激しいお腹の痛みやギューっとしめつけられるような痛みがある時も要注意です。痛みも継続することが多いため、このような状態になった場合はすぐに病院を受診するようにしましょう。

    ドクターより

    切迫早産の兆候となる腹痛

    イメージ,妊婦

     妊娠22週以降で、お腹の張りがある腹痛が起こった場合は切迫早産の可能性を考える必要があります。切迫早産とは、妊娠満期を迎えずに出産の兆候が強く起こりはじめる状態のことです。
     切迫早産の場合も腹痛がみられ、お腹が硬く張るのが特徴です。適切な処置を受ければ妊娠の継続が可能ですが、放置しておくと早産に移行するリスクが高くなっています。
     痛みが急に強くなったり、陣痛のように規則的な間隔で痛みが起こるような場合は、すぐに病院を受診しましょう。

    ドクターより

    常位胎盤早期剥離(早剥)による腹痛

     常位胎盤早期剥離(早剥)とは、胎児がまだ子宮の中にいるにも関わらず胎盤が剥がれてしまう状態のことです。早剥の原因はさまざまですが、初期症状として腹痛があります。ほかにも出血や胎動減少などがあり、放置しておくと胎児だけではなく母体の命にも影響を与えてしまいます。妊娠中期以降の腹痛では注意しておくべき原因の一つです。
     激しい腹痛、大量出血が起きた場合はすぐに病院を受診する必要があります。自分で病院に向かうことができない場合や、移動に時間がかかると判断した場合は救急車を呼ぶようにしましょう。

    腹痛の原因を知って早めに対処しよう!

     妊娠中の腹痛は、特に心配する必要のないもの、すぐに病院を受診する必要のあるものがあります。
     中でも腹痛と同時に出血を伴う場合や、痛みが長く続く場合はすぐに病院へ相談しましょう。また、便秘が原因だと考えられる場合でも放置しておくのもよくありません。痛みを自己判断するのではなく必ず病院に相談するようにしましょう。

    (飯塚病院 産婦人科 監修)

    カテゴリー
    妊娠・出産
    タグ
    ,

    編集者より
    妊娠中の腹痛の原因は、便秘など心配のないものから流産などの出産のリスクとなるものまでさまざま。
    大切なのは、原因に合わせた適切な対処を受けることです。不安な時はすぐに病院で相談しましょう。

    監修: 飯塚病院 産婦人科

    当科では、妊娠や分娩はもちろん、良性・悪性の婦人科腫瘍、不妊症や内分泌異常を対象とした不妊内分泌領域、すべてに対応しています。また、筑豊地域唯一の総合周産期母子医療センターとして、ハイリスク母体搬送の受入れ、緊急手術や超早産児の診療にも24時間体制で対応しています。年間の分娩数は約600例、手術症例数は約800例と、福岡県内の大学病院に匹敵する症例数を誇っています。

    女性の良性疾患 手術数:九州・沖縄 第10位(249件/年)
    乳がん 手術数:九州・沖縄 第15位(129件/年)
    (手術数でわかる いい病院2017|朝日新聞出版)

     

    飯塚病院産婦人科のHPへ