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手術について

呼吸器外科での手術の特長についてご紹介いたします。

  1. 呼吸器外科治療実績
  2. 低侵襲手術(VATS)について
  3. ハイブリッド手術室について

呼吸器外科治療実績

 飯塚病院呼吸器外科では2007年から2017年の11年間に2,389例の手術(うち胸腔鏡手術1,646例68.9%)を行っています。最も多い疾患は肺がんで1,262例(全体の52.6%)でした。手術数は年々増加傾向にあります。2017年の呼吸器外科の手術数は301例、うち肺がん手術数は159例でともに過去最高でした。肺がん手術(2007年から2016年の10年間の肺がん根治切除1,054例)の5年生存率は71.2%です。病期別の5年生存率は1A期82.3%、1B期76.4%、2A期63.5%、2B期60.4%、3A期40.9%であり、肺がんが進行するほど当然、治療成績は悪くなります。2007年から2017年までの肺がん手術1,262例中、術後30 日以内死亡は1例(0.08%、全国平均0.4%)、在院死亡5例(0.4%、全国平均0.7%)です。在院死亡5例中3例は間質性肺炎の増悪が原因です。

低侵襲手術(VATS)について

 呼吸器外科の手術には胸腔鏡手術と開胸手術の2つがあります。
 胸腔鏡手術は英語の頭文字をとってVATS(バッツ)とも呼ばれています。胸腔鏡手術と開胸手術では切除する範囲(肺やリンパ節)は同じですが、手術する方法が違います。
 胸腔鏡手術は胸腔鏡という内視鏡(カメラ)を用いて行います。胸腔鏡手術はさらに完全胸腔鏡下と胸腔鏡補助下の2つに分けられます。
 完全胸腔鏡下手術は1~2cmの穴(切開)を3~4個作り、一つの穴からカメラを挿入しテレビモニターに写された画像を見ながら、他の穴から挿入した専用の器具を用いて肺やリンパ節を切除します。最後に、切除した肺を専用の袋に入れて体から取り出します。取り出す肺の大きさに合わせて穴の一つを少し広く(3~5cm程度)します。

胸腔鏡下手術(VATS)で切除した肺を専用の袋から取り出す様子
※画像をクリックすると再生されます

 一方、胸腔鏡補助下手術は7~10cmの長さの傷(切開)を一箇所、さらに1~2cmの穴(切開)を2~3個作りその一つからカメラを挿入します。7~10cmの傷からは直接目で見て手術を行うことができます。胸腔鏡補助下手術はちょうど完全胸腔鏡下手術と開胸手術の中間の手術と思ってよいでしょう。
 飯塚病院での胸腔鏡手術はすべて完全胸腔鏡下手術です。胸腔鏡手術の一番の利点は体への負担が少ないことです。その結果入院期間も短くなり、傷が小さいため手術後の痛みも軽くなります。ただし手術で最も大切なのは安全で確実に行うことです。それぞれの患者さんの病気の進行度や全身状態を十分に評価して適切な手術方法を選択することが大切です。
 私たち飯塚病院呼吸器外科も積極的に低侵襲手術(完全胸腔鏡手術)を行っています。2017年は全手術の78%、肺がん手術の86%が胸腔鏡手術でした。

ハイブリッド手術室について

 ハイブリッド手術室が2018年9月から稼働しています。ハイブリッド手術室とは、手術室と血管X線撮影装置を組み合わせた手術室のことで、それぞれ別の場所に設置されていた機器を組み合わせることにより、最新の医療技術に対応します。大動脈ステントグラフトや径カテーテル大動脈弁置換術 TAVI:Transcatheter Aortic-Valve Implantation などの先進的な手技を迅速かつ安全に実施することが可能となります。呼吸器外科領域ではコーンビームCT機能により、すりガラス陰影などの小型肺腫瘤に対して従来CT室で行っていた手術前のCTガイド下マーキングが不要になります。このCTガイド下マーキングは空気塞栓などの重篤な合併症が報告されていますが、ハイブリッド手術室では腫瘍の位置を確認しながら手術を行うため、このリスクが回避され安全かつ確実な手術が可能になります。

  • ハイブリッド手術室

  • すりガラス陰影とVATSマーカー

    ハイブリッド手術室が導入されたことで
    VATSマーカー留置が不要に

 さらに今年度からロボット支援手術の保険適応が拡大されました。呼吸器外科領域では肺悪性腫瘍、縦隔腫瘍が保険適応になります。ロボット支援手術は従来の胸腔鏡手術にロボットの高機能を組み合わせて発展させた手術でより精密な作業、ロボットにしかできない動き(関節の360度回転など)により正確な手術が可能となります。筑豊地域では未導入ですが、呼吸器外科としては外科系各科と協力しながらロボット支援手術da Vinci ダヴィンチの導入に向けて準備を行っています。