子宮頸がん

どんな病気?

子宮頸がんとは、子宮の入り口の子宮頸部にできるがんです。性行為の経験があれば避妊の有無にかかわらず、ほとんどの女性に感染経験があるとされるヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症するとされています。現在、20~40代の若い女性に増えてきています。

どんな症状?

子宮頸がんは初期の段階では症状がほとんどありません。そのため、自覚症状として不正出血やおりものの増加などがみられた段階では、既にかなりがんが進行しているケースも少なくありません。

予防法

初期症状がほとんどない子宮頸がんですが、実は子宮頸がん検診を受けることで、がん細胞になる前の細胞異常の段階で早期発見・早期治療が可能な“予防できるがん”です。この細胞異常の段階を「子宮頸部異形成」と呼びます。子宮頸部異形成は自然治癒する場合もあれば子宮頸がんへ進行する場合もあります。進行するかどうかは、感染しているHPVの種類に影響します。ウイルスは全部で100種以上、そのうち子宮頸がんまで進行する可能性があるウイルスは13種類、特に危険性が高いのは8種類といわれています。そのため、子宮頸がん検診の受診によって、子宮頸部異形成が見つかっただけでなく危険性の高いHPVも持っていて、かつ、なかなか自然治癒しない場合には早めに治療を行うことにより、子宮頸がんへの移行を予防することが可能です。

飯塚病院での治療

子宮頸がんの治療法は進行度によって異なります。場合によっては子宮全摘出となることもあり、その場合は妊娠ができなくなるだけでなく、手術の副作用として術後の排尿障害や足のむくみなどを生じることがあり、お腹にも大きな傷が残ることになります。

一方、子宮頸がんになる前の子宮頸部異形成の段階では治療法が2つあります。

1つは異形成部分だけを切除する“円錐切除術”です。異形成以外の正常な子宮部分は温存できるので、術後も妊娠が望めます。ただし、切除する部分が大きくなると、流産や早産、妊娠中の合併症のリスクが増加されることが知られています。

もう1つは“レーザー蒸散術”という、子宮内を切らずにレーザーによって異形成を焼灼・蒸散する方法です。子宮を切らないため、円錐切除術と比べて身体への負担が少なく、副作用も起こりづらいというメリットがあります。円錐切除術と比べて再発率がやや高くなるデメリットもありますが、術後に妊娠を望む女性にはより有用な治療法です。妊娠を望む女性の場合、妊娠前の段階ではレーザー蒸散術で治療を行い、術後の経過観察を続けて、出産後に子宮頸がんのリスクが高まる状態になった場合、円錐切除術を行う、という方法をとることができます。

ドクターからのアドバイス

子宮頸がんは、がんの中でも珍しい、予防のできるがんです。そのためには定期的な検診受診と、検診結果に応じた適切な治療が欠かせません。若いうちから検診受診を習慣付けておきましょう。