急性虫垂炎

どんな病気?

一般的に盲腸(もうちょう)といわれる病気です。大腸の入り口部分にある虫垂突起というところが炎症を起こす病気です。炎症の原因は様々ですが、炎症が進行すると虫垂内部に膿が溜まってしまいます。さらに症状が悪化すると虫垂の壁に穴が開き(穿孔という)、膿がお腹の中に出てしまいます。こうなると腹膜炎を併発してしまう恐れがあります。

小児期の腹部手術で最も多い病気の一つです。学童期以後に多く発症しますが、6歳以下の年少児でも見られます。2歳以下のお子さんに発症することは極めて稀です。小児の場合は痛みが軽かったり、痛みをうまく表現できない場合があるため、判断の遅れから重症になることもあります。また、年少児の場合は虫垂の壁が薄く、炎症の進行が早くて穿孔が起こりやすいため、容易に腹膜炎を併発します。

どんな症状?

はじめは上腹部が痛くなり、時間が経つにつれて右下腹部に激しい痛みが伴います。その他37~38℃の発熱や嘔吐、食欲不振などがみられます。痛みを感じる場所や感じ方には個人差がありますので、注意しましょう。また小児では、症状の訴えの不確実さにより発見や診断が遅れがちになることがありますので注意しましょう。

飯塚病院での治療

軽症の虫垂炎は、3~4日間の抗菌薬の点滴により治療を行います。

中等度の虫垂炎に対して、当院ではおへその中に2センチ前後の穴を開け、細長い棒状の医療機器2本とカメラを挿入してお腹の中を見ながら手術を行う、「単孔式腹腔鏡下手術」を行っています。手術による切開の傷あとは、おへその中に隠れて目立ちませんし、術前よりもきれいなおへそになることがしばしばあります。また、術後は2~3日程度で退院することができます。

また、虫垂の壁に穴が開き腹膜炎を併発した重症の虫垂炎では、腹膜炎の状況を見て、上記の腹腔鏡手術での虫垂切除とおなかの中のうみを洗浄する手術を行い、術後強力な抗菌薬(多剤)治療を1〜2週間行う場合と、2週間前後の強力な抗菌薬点滴による保存的治療を行い、保存的治療の3ヶ月後に再発予防の虫垂切除を行う場合があります。

早期発見・早期治療のために

「急性虫垂炎」という名前のとおり、前兆もなく突然激しい腹痛が襲ってきます。前述の通り、炎症が進行すると腹膜炎を併発するなど重症化する恐れがありますので、症状がみられた場合にはできるだけはやく医療機関を受診しましょう。

ドクターからのアドバイス

以前より小児の急性虫垂炎の手術は一般の外科で行われることもありますが、小児外科では15歳以下の子どもさんの発達中の心と体を十分に理解した上で治療を行うことができます。気になる症状がある場合は、ご相談ください。