乳がん

どんな病気?

乳がんは、女性がかかるがんとしては最も多いがんです。女性の死亡者数は、大腸がん、肺がん、胃がん、すい臓がんに次いで5番目に多く、患者数、死亡者数ともに年々増加しています。患者数は30歳代から増え始めて、50歳代が最も多く、他のがんに比べて発症年齢が若いがんであると言えます。現在では女性の10~12人に1人は乳がんになると言われており、女性にとって最も身近ながんとも言えます。

どんな症状?

もっとも気付きやすい症状は、乳房のしこりです。他にはえくぼのようなくぼみができたり、乳頭から血液混じりの分泌液が出たりすることもあります。

脇の下のリンパ節に転移した場合は、脇の下にしこりができたり、腕のむくみやしびれを引き起こすこともあります。

飯塚病院での治療

一昔前は、乳がんといえば手術で大きく切除する治療が主流でしたが、最近は手術や薬、放射線など複数の治療法を組み合わせた「集学的治療」が行われるようになりました。

手術を行う場合、以前は乳房をすべて取り除く乳房切除術が主流でしたが、最近ではがんの部位や大きさを考慮して、可能と判断すれば乳房を部分的に切除する温存手術を行います。手術中に、がんの取り残しがないことを顕微鏡で確認する「術中迅速組織診」を行います。その結果、がんが広範囲に存在すると判明した場合には乳房切除手術に移行することもあります。温存手術で残った乳房のがん再発を防ぐのに、放射線療法が有効です。これにより、再発を約3分の1に抑制できる効果があります。

また、がんのタイプや治療段階に応じて、薬物療法を組み合わせていきます。手術前にがんを小さくする術前治療、術後の再発や転移を防ぐ術後補助療法、進行再発乳がんに対する治療などです。

飯塚病院には「乳腺専門医」がおり、様々な職種の医療スタッフや他の診療科の医師とのチーム医療により、患者さんをサポートしています。

また、飯塚病院には「さくら会」という乳がん患者会があり、患者さん同士の交流も活発に行われています。

早期発見・早期治療のために

乳がんは早期に発見できれば高い確率で完治できます。厚生労働省は、2年に1度は乳がん検診を受けることを推奨しています。乳がん検診では問診、視触診に加えて、マンモグラフィ検査を行うことにより、検診の有効性が高まります。また、若い女性は乳腺密度が高く、マンモグラフィではがんが見つかりにくいことがありますので、超音波検査を組み合わせることもあります。

乳がん検診は、各自治体が比較的安価に受けることのできる機会を提供していることが多いので、まずはお住まいの市町村のホームページ等を確認してみましょう。医療機関でも乳がん検診を実施しているところはあり、施設ごとに内容や金額は異なりますので、事前に確認されると良いと思います。飯塚病院では、マンモグラフィ、超音波検査に自己触診の指導も併せて行う乳がんドックや、子宮や卵巣の検査も併せて行うレディースドックなどを行っています。

40歳~60歳の女性には、5歳ごとの節目年齢の年に、乳がん検診を無料で受けられるクーポン券が厚生労働省から提供されますので、ぜひ利用してください。

定期的な検診受診に加えて、日ごろから自己触診を習慣的に行っていれば、より早い段階でしこりにきづくことができます。

ドクターからのアドバイス

乳がんは女性がもっともかかりやすいがんではありますが、早く見つければ完治できる可能性が高いがんです。日頃から、自己触診や定期的な検診受診の習慣をつけておきましょう。