臍ヘルニア

どんな病気?

生まれてすぐの赤ちゃんの腸が筋肉のすきまから飛び出して、いわゆる「でべそ」になっている状態のことを臍(さい)ヘルニアといいます。生まれてすぐは「へその緒の血管が通っていた」おへその真下の筋肉のすきまが完全に閉じておらず、泣いたりいきんだりしてお腹に圧力が加わったときにおへそが飛び出してきます。

5~10人に1人の割合でみられ、生後3ヶ月ごろまでに大きくなります。ひどくなる場合は直径3センチ以上にもなることがありますが、多くの場合、筋肉の発達してくる2歳ごろまでに腸などの飛び出しは治ります。しかし、2歳以降もこの状態が続く場合は手術を行うこともあります。

どんな症状?

飛び出してくる大きさは、お子さんによって異なります。おへそが出ている部分に腸が入っているので、触れると柔らかく、少し押さえるとグジュグジュとした感触で簡単にお腹に戻りますが、赤ちゃんが泣いてお腹に圧力が加わるとすぐに元に戻ってしまい、腸が出たり入ったりします。

飯塚病院での治療

当院では、生後すぐの乳児にはおへその大きさに合わせた綿をおへそに当てて圧迫しながら防水テープを貼る「圧迫療法」を行っています。テープにより肌トラブルがあれば、外用薬で治療し、治ったころに治療を再開します。

1~2歳以降になってもヘルニアが残っている場合や、治ったのにも関わらずへその皮膚がゆるんでおへそが飛び出したままになっている場合は手術が必要になることがあります。筋肉のすきまを閉じてへそが飛び出さないようにするだけでは無く、できる限り形が良い「へそ」になるように手術を行っています。

早期発見・早期治療のために

赤ちゃんの約1割が臍ヘルニアになるといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。おへそが出てきたかな?と思ったときは、まずは受診しましょう。

また、難しいことではありますが「おなかを張らせない」ことが大事です。おなかが張ると、完全に閉じていない筋肉のすきまより腸が飛び出し閉じにくくなります。感冒で鼻が詰まり呼吸のたびに空気を吞んでしまっておなかが張るお子さんや、肛門が生まれつき狭かったり、人工乳などのために排便が不十分でお腹が張ったり、排便時に強くいきむお子さんに多い傾向がみられます。へそが飛び出して前述のような症状がある方はご相談下さい。

ドクターからのアドバイス

多くの子どもさんに見られる疾患であり、見た目に気づきやすいので、心配される親御さんも多いと思いますが、乳児期早期に適切な対処をすれば、多くの場合手術をしなくても元に戻ります。圧迫の仕方にはコツがありますので、早めにご相談ください。