- 2018.11.02
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痛みは「おへその周り」から次第に「右下腹部」へ
一般的には「盲腸」と呼ばれる虫垂炎は、お腹の右下あたりに痛みが出るとよくいわれています。しかし初期段階ではおへそやみぞおちあたりに痛みが発生し、また同時に「機嫌が悪くなる」「食欲がなくなる」「食べたものを吐く」といった症状をともなうことがあります。このような症状は急性胃腸炎でも起こりうるため、この段階で急性虫垂炎を疑うのは難しいでしょう。
病状が進むとやがて痛みは右下腹部へと移り、発熱をともなうようになります。「お腹を触っただけで痛がる」「足を縮めて横向きに寝る」「歩く時に前かがみになる」など、痛みも次第に強さを増してきます。
症状が軽度であれば投薬のみ、重い場合は手術が必要
急性虫垂炎は発見が早く、症状も軽度であれば抗生物質などの投薬による治療が可能です。ただし治療後に再発するケースも少なくないため、症状が改善した後も状態の変化に注意が必要です。投薬治療後の再発率は20~30%程度といわれ、再発が心配されるケースでは症状が改善した後に夏休みや冬休みを利用して再度入院、手術をおこなうこともあります。
痛みや発熱といった症状が強いケースでは、緊急の手術が必要です。手術はお腹にカメラをいれて虫垂を切除する腹腔鏡下切除術、もしくはお腹を開いて虫垂を切除する開腹手術のいずれかが選択されます。入院期間は病状によって異なりますが、通常は5日から1週間程度です。
子どもの急性虫垂炎は進行が早い
先に述べたように、子どもの急性虫垂炎は他の病気との鑑別が難しいうえ、大人と比較すると虫垂が破れ腹膜炎を発症するまでの時間が早いのが特徴です。実際に症状があらわれてから24時間以上経ったケースでは、虫垂が破れている確率が30~40%というデータもあります。
腹痛や嘔吐の症状で胃腸炎など別の病気で診断が下りた後でも、油断せずにその日は痛み方の変化に注意を払います。もし「痛みが激しくなる」「右下の腹部を痛がる」「発熱がある」などの変化があらわれたら、ためらうことなく再度医師の診断を仰ぎましょう。