- 2018.06.08
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『乳腺炎』と『乳腺症』、言葉は似てても全くの別物
女性のおっぱいトラブルでも特に多いといわれる『乳腺炎』。この『乳腺炎』とよく混同されやすいのが『乳腺症』ですが、両者はその成り立ちや対処法などがまったく異なるため注意しましょう。
そもそも『乳腺症』というのは病気の名称ではなく、女性ホルモンの変化によって生じる乳房の張りや痛み、しこりといった症状の総称のことです。『乳腺症』は病気ではないため治療の必要がなく、近年は加齢による乳房の生理的な変化として位置づけられています。
一方の『乳腺炎』は細菌感染などによって引き起こされる乳腺の炎症です。『乳腺炎』は乳腺に何らかの問題が生じている状態であるため、適切な処置や治療が必要となります。
今回はこの『乳腺炎』にスポットをあて、その原因や症状、治療法などを詳しくご紹介したいと思います。
授乳期になりやすい乳腺炎
乳腺とは乳房の中で母乳を作り、分泌する器官です。この乳腺に炎症が起こる乳腺炎は授乳期に発症しやすく、産後のおっぱいトラブルの代表的な病気として広く知られています。
授乳期に起こる乳腺炎は主に『うっ滞性乳腺炎』で、母乳を乳頭まで送る乳管が詰まり、母乳が乳房内に溜まることが原因で乳腺に炎症が起こる病気です。さらに、うっ滞している乳腺や乳管に乳頭から侵入した細菌が感染すると『化膿性乳腺炎』を発症し、腫れや痛みなどの症状が強く現れます。
授乳期における乳腺炎には以下のような症状があります。
- 乳房が赤く腫れ、しこりを感じる
- 授乳すると乳房に痛みがある
- 乳房に圧迫感や熱感がある
- 乳頭から黄色い膿のようなものが分泌される
- 発熱・倦怠感など
乳腺炎の症状緩和にはマッサージが効果的
うっ滞性乳腺炎は乳房にたまった母乳を外に出すことで症状が緩和されます。細菌の感染がみられないうっ滞性乳腺炎の場合は、授乳を中止する必要はありませんし、症状が軽いケースあれば、乳房を温めてゆっくりマッサージしながら授乳を続けると自然に回復することもあります。ただし、乳房は温めすぎると母乳の生成が活発になるため、授乳時以外は患部を冷たいタオルなどで冷やすようにしましょう。
一方、化膿性乳腺炎の場合は、一旦授乳を中止し、抗生物質や消炎剤を服用する治療を優先します。さらに症状が重く、乳腺内に膿が溜まっているケースでは、乳房を切開して膿を排出する治療が必要となる場合があります。
次回【Vol.2】では、乳腺炎の予防策や、授乳期じゃない方でも注意が必要なケースなどについてご紹介していきます。
【Vol.2】へ続く