母子感染に注意!妊娠中のウイルス感染症と予防策 Vol.1

イメージ:妊娠

  • 2018.05.11
目次

    気をつけたい感染症

     妊娠中にウイルスに感染すると、胎盤を通して胎児にも感染することがあります。非常に稀ですが、生まれてくる赤ちゃんに影響を与えてしまうこともあるため、できるだけ感染しないように注意しておきたいものです。
     小児期にかかることの多い「風疹」「リンゴ病(伝染性紅斑)」「サイトメガロウイルス感染」「水ぼうそう」なども、妊婦さんが感染すると赤ちゃんに影響を与えてしまう場合があります。そのため、幼児がいる家庭では特に注意が必要です。また、妊娠中に感染すると帝王切開が検討されるものとして「単純ヘルペスウイルス」や「尖圭コジンローマ」といったウイルス感染症もあります。
     今回は、これらの気をつけておきたい6つの感染症について、感染時の症状と感染を防ぐための対策について紹介します。

    風疹

     風疹ウイルスに感染すると、発疹やリンパ節の腫れ、発熱などの症状がでます。大人は重症化しやすく、特に妊娠中に感染すると赤ちゃんが「先天性風疹症候群」になってしまう可能性もあります。ただし、風疹の既往歴がある人や予防接種によって十分な抗体を持っている人であれば、新たに感染することはありません。妊娠初期検査で風疹抗体検査を行ったら抗体の有無を確認しておきましょう。
     もし妊娠中に感染した場合でも、妊娠20週目以降の感染なら胎児への影響はほぼありません。しかし、妊娠初期は感染しないように注意することが大切です。妊娠前であればワクチンの予防接種を受けておくことも大切です。風疹は飛沫感染するため、妊娠後に抗体がないと分かった場合は、人込みを避けたりマスクを着用するなどの予防に努めましょう。

    リンゴ病(伝染性紅斑)

    イメージ:母と子

     ヒトパルボイウルスB19型が原因となって発症し、頬が赤くなることからリンゴ病(ほっぺ病)と呼ばれています。幼少期に発症し、発熱や関節痛などが起こることがありますが、自然治癒する病気です。ただ、妊娠中に発症すると経胎盤感染によって「胎児水腫」や流産を招く恐れがあるので注意が必要です。
     お腹の赤ちゃんの兄弟児がリンゴ病を発症している場合は、妊婦さんが不顕性感染(自覚症状がないが感染していること)を起こすこともあります。母子感染を防ぐためにも、一時的に実家に帰省するなどの対策を考えてみましょう。

    ドクターより

     次回【Vol.2】では、サイトメガロウイルス感染、水ぼうそう、単純ヘルペスウイルス、尖圭コジンローマについてご紹介していきます。
      【Vol.2】へ続く

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    監修: 飯塚病院 産婦人科

    当科では、妊娠や分娩はもちろん、良性・悪性の婦人科腫瘍、不妊症や内分泌異常を対象とした不妊内分泌領域、すべてに対応しています。また、筑豊地域唯一の総合周産期母子医療センターとして、ハイリスク母体搬送の受入れ、緊急手術や超早産児の診療にも24時間体制で対応しています。年間の分娩数は約600例、手術症例数は約800例と、福岡県内の大学病院に匹敵する症例数を誇っています。

    女性の良性疾患 手術数:九州・沖縄 第10位(249件/年)
    乳がん 手術数:九州・沖縄 第15位(129件/年)
    (手術数でわかる いい病院2017|朝日新聞出版)

     

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