- 2017.11.24
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前回【Vol.1】では、便秘と考えるべきケースや原因、ホームケアについて紹介しました。今回は、離乳食やトイレトレーニング、入園といった便秘を引き起こすきっかけや、頑固な便秘をまねく腸の病気などについてご紹介します。
離乳食によって腸内環境が変化
離乳食が始まると、腸内環境が変わり、うんちを長くためられるようになります。離乳食の量が少なかったり、食物繊維が特に不足していたりすると、うんちの材料も不足気味に。さらにミルクや母乳を飲む量も減って、水分不足でかたくなりがちです。
赤ちゃんや幼児はいきむ力が弱いので、かたいうんちは出しにくく、デリケートな肛門を傷つけることも。排便中に痛みを感じると、ますます出せなくなって、うんちがさらにためてしまうという悪循環に陥ります。頑固な便秘になる前に、普段からうんちをやわらかくすることが便秘対処法のポイント。食物繊維の多い食材を離乳食のメニューにくわえ、水分をたくさん摂取させることが大切です。
トイレトレーニングや入園が便秘のきっかけに
便秘体質になってしまうかどうかを決めるのは、おむつはずれの時期や入園時期という説があります。トイレトレーニングや幼稚園では、これまでとは違うスタイルや環境での排便を促されますが、それが子どもにとって大きなストレスに。さらに失敗して叱られることがあったりすると、トイレの場所だけではなく排便することそのものを嫌がるようになります。
無理をさせない、できたらほめる、トイレを楽しい場所にするなどの心配りでゆっくりトイレに慣れさせましょう。毎朝、1杯の水を飲むこと、朝食をしっかり食べることも排便の習慣をつけるのに役立ちます。
- ドクターより
頑固な便秘をまねく腸の病気
赤ちゃんや幼児の頑固な便秘は、先天的な腸の病気の疑いがあります。代表的なのは鎖肛とヒルシュスプルング病です。
鎖肛は生まれつき肛門そのものに異常があってうんちを出せない病気で、通常は生後すぐに発見されて人工肛門を作る手術が行われます。
ヒルシュスプルング病は排便を行う直腸の動き(ぜん動運動)に必要な神経節細胞が腸壁にないために、うんちが出せない病気。5,000人に1人の割合で発症し、腸閉塞や敗血症を合併して命にかかわることもあります。治療では、神経節細胞のない腸を切り取って、神経節細胞のある正常な腸を引き降ろして肛門とつなげる手術を行います。最近では腹腔鏡を使う方法や、すべての手術を肛門から行う経肛門手術などにより、小さな傷で済むようになってきています。こちらも赤ちゃんのときに発見されることが多い病気ですが、小学生ごろまで見過ごされているケースもあります。
毎回下剤が必要なほど便秘が続いている場合は医師に相談してみましょう。