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部長あいさつ

飯塚病院 肝臓内科 部長 田中 紘介

 このたび飯塚病院肝臓内科のホームページをご覧頂きありがとうございます。このホームページにより、少しでも、多くの患者さんや他の医療機関スタッフの方々に当科の診療理念を知っていただきたいと思っています。

 私自身が2016年に飯塚病院の肝臓内科として赴任した頃には、C型肝炎根絶に向けて様々な新薬が登場し、全国的にC型肝炎患者は著しく減少し、それに伴い肝硬変、肝癌患者の減少に繋がりました。しかしながら、直鞍・筑豊医療圏においては、C型肝炎、肝硬変、肝癌患者のピークは過ぎたものの、他の地域と比較して、肝疾患患者数は依然多く、肝臓内科の成すべき課題は多いと思われました。
 特に肝細胞癌の治療においては、手術適応外であっても、経皮的焼灼術、放射線治療、全身化学療法、血管造影治療などを組み合わせて(集学的治療)、可能な限り根治に近い状態に近づけて行くという治療姿勢に変化しつつあり、当科でも常に「諦めない診療」を心がけています。
 このような集学的治療は、肝癌治療において不可欠であり、肝臓内科だけでは、行えませんので、外科をはじめ、放射線科、放射線治療科、消化器内科といった他科との協力関係が、非常に重要です。
 また、肝細胞癌に対する全身化学療法おいては、以前は種類も少なく、治療効果も満足のいくものではありませんでしたが、現在、分子標的剤や免疫チェックポイント阻害剤といった様々な薬剤が肝細胞癌でも適応されるようになり、今後の治療効果が期待されます。
 このように、肝癌治療はいっそう複雑多様化が進んでいますので、当科では局所治療班、薬物治療班、肝炎治療班といった役割を分担し、それぞれの担当が各分野の最新情報の収集や症例データ解析などを行い、学会発表や論文作成を行っています。これにより、それぞれの肝臓疾患において偏りなく、知識をアップデートできるようになりました。
 また、当科では週2回以上のカンファレンスを行い、全ての症例の治療方針を必ず、スタッフ全員による話し合いで決定するようにしています。そして、定期的に治療経過を報告し、治療のフィードバックをスタッフ全員で行い、治療が個人プレイではなく、チーム医療であり続けることを重要視しています。

 このような診療体制は、先代からの当科スタッフが多種多様な肝疾患を粘り強く診療し、その経験の蓄積と試行錯誤の繰り返しにより確立されたと思っています。

 2024年7月より、私が部長に就任し、これまでの診療体制を維持しつつ、より良いやり方があれば、積極的に取り入れ、常に透明性のある診療を保ち続けたいと思っています。この慢心無く、謙虚に取り組む姿勢が、患者さんへのより良い治療提供に繋がると思っておりまますので、診療に関して、ご不満ご不安を含め、ご気軽にご相談、ご指摘いただきますと幸いです。

2024年7月1日
肝臓内科 部長 田中 紘介