医療関係者の皆様へ

部長あいさつ

飯塚病院 肝臓内科 部長 本村 健太

 飯塚病院肝臓内科のホームページをご覧いただきありがとうございます。このホームページは当科の診療内容や取り組んでいることについて、外部の方に知っていただくために作成したものです。

 私が飯塚病院に赴任した20年前は、C型肝炎による肝がんや、地域の高齢化に伴う胆道系疾患が激増していた時期で、患者数に診療体制が追いつかず、昨今の労働基準では問題視されるのではないかと思われる忙しい日々が続いていました。おそらく、当時は多くの病院で似たような状況だったのではないかと思います。

 当科でもカンファレンスはありましたが、皆が多忙なため手短なプレゼンテーションで終わることが多く、他の医師が担当する患者さんの病状については、ほとんど知らない状況でした。例えば肝がんの診療でも、皆で治療方針を相談する時間もとれませんし、今のように診療ガイドラインもないため、医師によって治療方針はばらばら、ということが当然のようにありました。

 その後、肝がん・肝炎の治療の進歩に伴って入院患者数が漸減してきたことで、診療状況は徐々に改善されてきました。特に影響が非常に大きかったものとしては2014年に登場したC型肝炎に対するインターフェロンフリー治療が挙げられます。2018年末までに、飯塚病院肝臓内科では600人以上の患者さんのC型肝炎を治療することができました。このことにより多くの患者さんの新たな発がんや再発を防止できたことも、われわれがさらに診療の質を改善するための時間的余裕を与えてもらえたと思っています。

 時間的余裕はカンファレンスの内容と時間にも反映されており、現在の飯塚病院肝臓内科では、本来当然のことですが、入院予定となっている肝がんの患者さんの治療方針は必ず検討され、ラジオ波焼灼療法などの根治的治療については、治療結果を全員で必ずチェックしています。また、月に2回は新しい研究論文の知識を共有するための勉強会を欠かさず継続しています。さらに、われわれ自身の診療の見直しとレベルアップにつながることから全員で臨床研究に力を入れており、学会・論文発表を毎年欠かさず行っています。

 昨今、病院側に原因があって生じた医療過誤では、診療内容の可視化・透明化に問題があるケースが多いと言われています。ホームページを作成することでこれらの問題が解消されるわけではありませんが、内容のあるカンファレンスや勉強会、臨床研究を継続していくには、所属する医師の意識が重要です。このためには、情報の隠ぺい体質と逆方向に働く力が常にあった方が良いはずです。現在の当科のスタッフはとても優秀ですが、数年たてば異動で顔ぶれは変わるでしょう。このホームページ開設は当科の広報のためですが、同時に、当科のスタッフが外部の目線を意識することにつながるのではないかと思っています。定期的に掲載内容を更新していく予定ですので、よろしければ時折覗いていただけると幸いです。

2019年4月4日
肝臓内科 部長 本村 健太