歯科口腔外科 > ご利用の皆様へ > トピックス > 低ホスファターゼ症(HPP)について
低ホスファターゼ症(HPP)は、先天的にアルカリホスファターゼという酵素が不足して骨の石灰化が障害され、骨が弱くなる非常にまれな遺伝性疾患です。症状の現れ方や重症度はさまざまで、骨の変形、骨折、けいれん、四肢の短縮などが見られます。
低ホスファターゼ症の分かりやすいサインとして「乳歯の早期脱落」があります。通常の乳歯は永久歯の萌出に伴って徐々に歯根が吸収し、6~12歳ぐらいで脱落します。しかし低ホスファターゼ症の場合は、4歳未満で、ほとんど根吸収のない乳歯が自然に脱落するのが特徴で、1本に限らず複数本の場合もあります。早く歯が抜けるのは土台となる骨が薄いから、または根を覆うセメント質がうまく形成されていないからと言われています。根吸収がないため、抜けた歯の根は細長く、とがっているのが特徴です。
2015年に足りないアルカリホスファターゼ酵素を補充する酵素薬が承認され、治療に使えるようになりました。早い時期にこの病気だとわかれば、症状を改善する治療を受け、病気とうまくつきあっていくことができます。まれな疾患ですので、一般の歯科医にはこの病気の知識が乏しい人も多いのが現状です。次の様な症状がありましたら、当科もしくは小児歯科専門医に「低ホスファターゼ症ではないか」とご相談いただくのがよいと思います。