整形外科 > ご利用の皆様へ > 主な病気・治療について > 脊椎、骨軟部感染症
近年、食生活の欧米化もあり、糖尿病、あるいは糖尿病予備軍の方が増加しています。これらの方は特に自覚症状がないことも多く、足の指のちょっとしたきずが治りが悪く、ひどい感染症を起こしてショック状態で来院されることもあります。いわゆる人食いバイ菌として知られるA群β溶血性連鎖球菌 による感染症は、急速に広がる皮膚壊死や筋膜の壊死が炎症の場であり、緊急外科的デブリードマン手術が必要です。
これらの緊急手術は皮膚科、形成外科で施行されることが多いのですが、四肢の解剖学的な知識、手術経験の豊富さから最終的に整形外科に相談が来ることがあります。整形外科疾患で人命にかかわることは少ないのですが、これらの壊死性筋膜炎、ガス壊疽などの壊死性軟部組織感染症は極めて重篤な状態に陥ることもあり、全身的な管理が得意な総合診療科重症疾患チームが迅速に、注意深く治療にあたっています。
このように重篤な疾患は、単独の医師のみでは治療困難であり、他院から救急車で当院救命救急センターに搬送されることが多いです。また、一見、大したことがないように思われる足先のきずが命取りになることがありますので、この疾患に対する知識と経験が必要となります。
壊死性軟部組織感染症によく似た疾患に蜂窩織炎があります。これは重篤ではない軟部組織の感染症です。蜂窩織炎と壊死性筋膜炎、両者の局所所見はとても似ていますが、予後も対応も大違いなので、十分な知識、経験、決定判断能力が必要です。