整形外科 > ご利用の皆様へ > 主な病気・治療について > 骨粗鬆症、脆弱性骨折
骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減ったり、骨の質(骨質)が悪くなったりすることで骨がもろくなり、骨折しやすくなった状態をいいます。日本での患者数は約1,300万人にのぼると推定されていますが、実際に治療を受けている方は約2割といわれています。骨粗鬆症が問題なのは、初期には全く症状がないことです。骨折して初めて骨粗鬆症とわかることも少なくありません。骨量が低下すると、ちょっとしたことでも骨折しやすくなります。転倒や打撲などのきっかけがなく、起き上がる、体を捻るなどの動作で骨折していることもあります。骨折の部位によってはそのまま寝たきりや要介護の状態になってしまいます。骨粗鬆症は骨だけでなく、全身に影響を及ぼす病気であり、早期に診断し、必要な治療を受けることが必要です。
骨粗鬆症は通常、骨量(骨密度)に基づいて診断されます。骨量の測定に使われている方法はいくつかありますが、多く採用されているのが二重エネルギーX線吸収法(DXA)と定量的超音波法(QUS)です。いずれも、若年成人の骨密度基準値(YAM)を100%として、その70%以上80%未満であれば骨量減少、70%未満であれば骨粗鬆症と診断します。(図1)
骨粗鬆症の治療の目的は早期にリスクを発見し、骨折を防ぐことにあります。骨量以外に骨折をおこしやすい要因があります。骨折の既往歴、大腿骨近位部骨折の家族歴が重要で、経口ステロイドの使用、関節リウマチなど骨粗鬆症と強い関連のある病気、飲酒、喫煙も関与しています。最近では、これらの危険因子に基づいて今後10年間で骨折するリスクを計算するツールが開発されました(FRAX(R)、ウェブ上で無料で利用できます)。
骨粗鬆症と診断されていなくても、骨折の危険性の高い人には、早めに薬による治療を開始することが勧められています(骨量減少でかつFRAX(R)の骨折確率15%以上)。骨粗鬆症の治療は薬物療法が中心になりますが、骨折の予防には日頃から食事と運動に気をつけることが大切です。骨のもとになるカルシウムやカルシウムの吸収を良くするビタミンD、ビタミンKの多く含まれる食事をとるなど、各栄養素をバランスよく摂取するようにしましょう。運動は骨を丈夫に保ち、転ばないための体力や筋力を維持することができます。しかし、無理をすると筋肉を痛めたり、転倒する危険性があるため、散歩や体操など、日常生活で意識的に運動量を増やすようにして下さい。
骨粗鬆症の治療薬にはさまざまな作用や特徴があります。骨吸収を抑える、または骨形成を増やす薬があり、医師が状態を総合的に判断して使用する薬や開始時期を決定します。また、最近は注射で骨量を増やす薬も出てきました。骨粗鬆症の治療薬は効果がわかりづらいですが、治療の途中でやめてしまうと再び病状を進行させてしまうことになります。自己判断で中断せず、医師と相談しながら正しく服用することが大切です。
図1
(財)骨粗鬆症財団ホームページより