飯塚病院 整形外科

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主な病気・治療について

手の外科

再接着術

 再接着術とは切断された手や指の血管・神経を顕微鏡を使って元通りにする手術です。写真は手術用の顕微鏡です。

手術用の顕微鏡

 実例を示します。剪定バサミで誤って示指を切られた症例のレントゲン写真です。指先は掌側の皮膚でかろうじて繋がっている状態でした。

症例レントゲン写真

 顕微鏡で20倍に拡大し血管と神経を探したところ直径1mmの動脈と神経が見つかりましたので、細い糸(10-0ナイロン:100μの細さ)で動脈を吻合しました。

 血管を吻合すると血流が再開し指先がピンク色に回復します。また、指の神経も縫っていますのでしばらくすると知覚も戻ってきます。皮膚は太いナイロン(4-0ナイロン:0.15mmの太さ)で縫っています。

 顕微鏡を使うと10倍~40倍に拡大することが出来るので、最少で0.5mmまでの血管や神経を縫うことが出来ます。

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手根管症候群

 手根管症候群は、中年以降の女性に比較的多く発症する病気です。指先に向かう神経の一つである正中神経が、手関節の手のひら側にあるトンネル(手根管)部で圧迫された結果、症状が出現します(図1)。

手根管症候群

 親指から薬指にかけての、夜間や安静時のしびれが初期症状として出現し、神経の圧迫が持続すると、親指の付け根の筋肉(母指球筋)が萎縮してきます。症状は時として両側の指に出現することもあります。神経伝導速度の測定を行い、障害されている部位・程度を評価します。
 初期の場合は手関節固定装具での安静や、ステロイド注射、内服薬処方などの保存療法で症状が軽快する場合も多いため、開業医の先生方に治療をお願いしております。しかし、保存療法で症状が軽快しない場合や、痺れ・疼痛が強い場合、筋萎縮が生じた場合等は、神経を圧迫している靭帯を切離し、神経の圧迫を解除する手術を行う事になります。
 当院では、内視鏡を用いた手根管開放術を取り入れています。手掌と手首に1~2cmの小皮切で内視鏡を挿入し、専用のナイフで靭帯を切離します。手掌部に傷口ができないため、手をついたりする動作での痛みが少なくなります。

腱鞘炎

 腱鞘炎は腱が通るトンネル(腱鞘)に炎症を生じる病気です。代表的な腱鞘炎にばね指があります。更年期の女性に多く、妊娠出産期の女性にも生じやすいです。指の使い過ぎによる負荷のため、動かすたびに摩擦による腱鞘の炎症が進み、通過障害をおこし引っ掛かりが生じるようになり、ばね現象が起こります(図2)。

図2
(図2 日本整形外科学会ホームページから引用)

 その他に、手首の腱鞘炎としてドケルバン病があります。母指を広げたり、動かしたりすると手首の母指側に強い痛みが走ります。
 最初は局所の安静や投薬、ステロイド腱鞘内注射で軽快する場合がありますが、再発することも少なくありません。改善しないときは腱鞘を開く手術(腱鞘切開)を行います。

母指CM関節症

使い過ぎや老化に伴って母指の付け根のCM関節の軟骨の摩耗が生じ、関節が腫れたり、亜脱臼に伴って母指が変形してきます(図3)。

母指CM関節症
(図3 日整会ホームページから引用)

 物をつまむ時やビンの蓋を開ける時など母指に力を必要とする動作で痛みを生じます。
 最初は投薬やステロイド関節内注射、局所安静を目的とした軟性装具を装着します。痛みが強く亜脱臼を伴う高度な変形がある時には、手術を行います。手術法には、関節固定術や靱帯再建術、骨切り術があります。関節固定術は長期成績は安定していますが、母指の可動性がやや低下するため手のひらを合わせにくくなります。靱帯再建術は母指の動きを残したまま除痛できる優れた方法です。

TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷

 外傷や加齢性変化により手関節の尺側にあるTFCCという組織が損傷され、手首の小指側に痛みが出現します(図4)。

TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷
(図4 日整会ホームページから引用)

 ドアのノブを捻ったり鍋などを持ち上げるときに激痛が走ります。
 治療は投薬やステロイド関節内注射、局所安静を目的とした装具を装着します。これらの保存治療で改善しない時は、手術を行います。手術法には関節鏡を利用したTFCCの修復術や、尺骨短縮骨切り術などがあります。
 その他には、デュプイトラン拘縮に対するコラゲナーゼ注射療法や、骨折、腱損傷、靭帯損傷などの様々な外傷の手術も行っています。
 当院では、外来手術センターでの局所麻酔(もしくは伝達麻酔)を用いた日帰り手術も行っています。翌日に傷の確認の為来院していただくことになりますが、ご希望があればお近くのかかりつけの病院でも傷の処置を行っていただくことができます。当院では診断に応じて紹介を受け付けておりますので、これらの症状にお心当たりのある方は、是非ご相談ください。

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