飯塚病院 整形外科

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主な病気・治療について

関節鏡視下手術

 関節鏡とは内視鏡の一種で、関節の中をのぞくための器械です。よく知られている胃の中をのぞく胃カメラとの違いがいくつかあります。胃カメラがぐにゃぐにゃと柔らかく曲がるのに対して、関節鏡の先端は固い棒状となります。胃カメラは開けた口から入れることができますが、関節鏡は1cm程度の小さな切開を患部に2~3箇所加える必要があります。そのため無麻酔というわけにはいかず、手術に準じた麻酔が必要となります。多くの場合は入院した上で行います。食べ物が入っていく=様々な菌に対して強い環境にある胃とは異なり、関節の中は基本的に無菌の世界です。これも清潔な手術室で行う理由の一つです。また胃の中はある一定の空間がありますが、狭い関節の中を観察するためには内部を強制的に水でふくらませて手術します。しかし従来のように大きく切開する必要がありません。したがって体への負担が少ない、正常な関節組織を傷つけにくい、術後の回復が早い、短期間の入院で済む、などの大きな利点があります。
 この関節鏡、実は20世紀に日本人が開発・発展させた手術手技で、整形外科領域において日本が世界に誇る偉大な業績のひとつです。図2のように先端に小さな高性能カメラとライトがついた鉛筆程度の太さの細い管を挿入し、関節の中をモニター画面に映しながら観察・処置を行います。近年は科学技術の進歩により画質が目ざましく向上しています。
 関節鏡で人体のいろいろな関節を観察することができます。中でも膝関節は他の関節に比べて内部の空間が比較的広く、皮膚の直下でもあるためアクセスしやすいです。関節鏡手術のとてもよい適応と言えます。半月板の切除や縫合術、十字靭帯の再建手術等においてなくてはならない存在です。肩関節では腱板断裂や脱臼の手術に用いられます。その他に現在では股関節、肘関節、手関節、足関節にも用いられ、さらには関節だけでなく、体腔皮下、筋層下、脊髄など様々な分野に応用されています。
 当院では2013年2月より北棟で低侵襲手術センターが運用開始となり、今後ますます関節鏡の有用性が着目されていくことでしょう。

(図1)関節鏡モニター(図2)関節鏡器具(図3)関節鏡手術

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