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感染症TOPICS

第6回:血液培養陽性患者の支援について
~黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)とカンジダ属血症〜

感染症科 大橋祐介

 当科では、院内で血液培養陽性となった全患者を確認し、適切なフォローアップ・抗菌薬選択がなされているか確認させて頂いております。より望ましい抗菌薬選択が考えられる場合や、抗菌薬投与量調節が必要である場合には、主治医に御連絡させて頂き、感染症診療の支援を行っています。特に、血液培養から黄色ブドウ球菌、カンジダ属が検出された際には、抗微生物薬選択や治療マネジメントも複雑となるため、必要時には当科も併診させていただき診療の支援をさせて頂いております。

黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)

 SABには、治療バンドルが存在します1)。具体的には図1のように、抗菌薬開始後48-96時間後の血液培養のフォローアップ、迅速な感染巣コントロール、心エコー検査の施行などがあげられます。また、SABは感染症専門医の直接的な介入により、死亡率が改善されると言われています2)

カンジダ属血症

 カンジダ属血症に関しても、図2のように治療のバンドルが存在します。診断後24時間以内の中心静脈カテーテル 抜去、適切な抗真菌薬の初期選択・投与、眼内炎の検索、血液培養陰性化の確認、治療開始3〜5日後における 臨床効果の評価、抗真菌薬の変更の 検討、及び血液培養陰性化かつ臨床症状改善から最低2週間の治療などの項目が含まれており、これらの実施により患者さんの予後が改善すると報告されています3)


 上記のように、SABおよびカンジダ属血症では治療評価やフォローアップも複雑となるため、感染症科が積極的に診療の支援をさせて頂いております。また、上記以外の菌種に関しても、血液培養陽性となった患者さんでお困りの事があれば、お気軽に感染症科に御相談頂けますと幸いです。

    【参考文献】
  • 1) López-Cortés LE, et al. Impact of an evidence-based bundle intervention in the quality-of-care management and outcome of Staphylococcus aureus bacteremia. Clin Infect Dis. 2013;57(9):1225-33.
  • 2) Forsblom E, et al. Telephone consultation cannot replace bedside infectious disease consultation in the management of Staphylococcus aureus Bacteremia. Clin Infect Dis. 2013;56(4):527-35.
  • 3) Takesue Y, et al. Management bundles for candidaemia: the impact of compliance on clinical outcomes. J Antimicrob Chemother. 2015;70(2):587-93.