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患者さんから「気温が下がると、血圧が高くなりやすくなる」と聞くことがあります。
これは、寒さで「血管が収縮してしまう」、「交感神経の活動が活発になって、心拍数の上昇すること」が影響している可能性があります。
寒い時期は、診察で薬の種類や量を調整してもらい、血圧が落ち着く方もいます。薬の調整で効果がない時は、塩分の摂り過ぎが影響していないかを考えます。
塩分の摂り過ぎは、血液に含まれる塩の成分であるナトリウムの濃度を一定に保つため、水分を多く摂るようになります。味付けの濃い料理や塩辛いものを食べた後にのどが乾いて水分の摂取量が増えた結果、血圧の上昇に影響していることがあります。
高血圧をそのままにしておくと、血管に負担がかかり、血管が破れたり、つまる(閉塞)原因につながります。この血管の変化が心臓で起きれば、狭心症や心筋梗塞、脳で起きれば、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血と言った脳卒中を発症してしまいます。
さらに高血圧を治療しないで放置していると、腎機能の低下を招くことがあります。その結果、腎機能の低下が改善せずに食事で注意することが、増えてしまいます。
万病のもとになる塩分の摂り方を見直すことは、高血圧予防だけではなく、未来の病気を予防することにつながります。



厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」で、1日の摂取塩分は男性で7.5g未満、女性は6.5g未満を推奨しています。塩分制限が必要な方は6g未満とされており、塩分の摂りすぎが気になる方は、普段の食事を振り返ってみてはいかがでしょうか?
文責:肘井 菜奈子