飯塚病院 外科

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各疾患のご説明と当科の取り組み

乳がん

乳がんとは

 乳がん患者さんは増加傾向にあり、最近の統計では年間9万人が罹患すると予想されております(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター)。女性のがん罹患者数では第一位であり、女性の10-12人に1人は乳がんに罹患するといわれています。とくに、40歳代から乳がんにかかる危険性は高くなるといわれており、自覚症状としては、乳房のしこり、皮膚引きつれ、乳頭からの血性分泌物などがあります。

検査について

 当院では、マンモグラフィー、乳腺超音波からMRI、PET-CT検査まで詳しい検査が行えます。乳腺超音波でわかるような悪性を疑うしこりに対しては、穿刺吸引細胞診や針生検を行って、診断をつけます。また、乳腺超音波で見つからない悪性を疑う石灰化病変に対しては、ステレオガイド下マンモトーム生検を行い、石灰化を伴う病変が悪性かどうかを判断しています。

  1. マンモグラフィー:レントゲン撮影装置で乳房をはさんで行う検査です。しこりや石灰化を見つけるために行います。
  2. 乳腺超音波:乳房のしこりを発見、評価するために行います。しこりを形成しないような乳管の中にあるようなタイプの乳がんの発見にも有用です。
  3. 穿刺吸引細胞診:上記2.で指摘できるようなしこりに対して行う検査です。細胞診とは、顕微鏡で細胞の形や構築を観察し、悪性かどうかを判断する検査です。専門の検査技師・病理医が協力して診断します。
  4. 針生検:細胞ではなく、組織を採取するため、穿刺吸引細胞診と同様で、しこりが悪性かどうかを判断する検査です。専門の病理医が診断します。
  5. ステレオガイド下マンモトーム生検:がんを疑うような石灰化に対して、超音波で見つからないような場合に行います。マンモグラフィーを行うような姿勢で、石灰化の座標を決定し、組織を取るような検査です。
  6. その他の主な検査(MRI,CT、骨シンチなど)MRI検査は、しこりの有無を発見するため、しこりの性質を判断するため、しこりの広がり具合を判断するために行う検査です。CT検査は主に他の臓器に転移があるかどうかを判断するための検査です。骨シンチ検査は骨への転移の有無をみるために行います。

治療について

 当科は放射線治療科などの諸科と連携しながら、チーム医療を推進し、患者さんと話し合いながら治療を進めております。

チーム医療のイメージ図

 また、形成外科と連携し再建術希望の方に保険適応である再建術を提供できるようになりました。今まで福岡市内まで再建術のために通院していただいておりましたが、今後は当院で完結できる治療になります。

認定書

【手術療法】

 病変部位、腫瘤の大きさを考慮し、乳房温存(部分切除)療法を施行できるかどうかを判断しています。正常な乳腺組織をつけてくり抜くような切除を行い、術中迅速診断という特殊な検査でがんの遺残がないかどうかを確認しています。がんの遺残があれば、追加切除を行い、がんの取り残しがないようにします。
 また、術前化学療法を用いて,がんを縮小させ、温存手術などを行うこともあります。

【センチネルリンパ節生検】

 腋窩リンパ節郭清術はリンパ浮腫や上肢の感覚異常などという合併症が10~20%の割合で生じます。また、このような合併症は治療困難であり、長期間、患者さんにとって負担となります。
 術前の検査で腋窩リンパ節に転移がない方にはセンチネルリンパ節生検を施行しています。センチネルリンパ節とは最初に転移が生じるリンパ節のことで、がんが転移する見張り役となるためこの名前が付けられています。放射性同位元素(RI法)やICG(蛍光法)、色素(色素法)を用いて、判別することが一般的に行われています。当院では蛍光法と色素法の併用することで、センチネルリンパ節を同定しています。

センチネルリンパ節生検の図

【放射線療法】

 乳がんは放射線療法が有効ながんの一つです。乳房温存療法は放射線治療を抜きには行えません。乳房温存手術に放射線照射を加えることによって、残存乳房の再発を約1/3に抑制できる効果があり、温存手術を受ける方には施行していただいております。また骨転移の疼痛コントロール目的に放射線照射を行ったり、脳転移に対して、放射線照射を行ったりします。

【薬物療法】

 乳がんは一人一人そのがんの性質が異なります。乳がんは全身病という側面もあり、手術や放射線などの局所治療で、治癒困難な場合は全身治療としての薬物治療を行います。
 手術後の再発リスクは患者さん一人一人で違いがあります。そのリスクをできるだけ少なくするように、リスクにあわせて治療を行います。病理医による顕微鏡の検査でどのようなタイプの乳がんかの判定を行います(サブタイプ分類といいます)。そのタイプをみて、手術後にどの追加治療が必要かを判断しております。普通は術後に行われますが、いろいろな目的で手術前にこうした薬物療法が行われることもあります。
 しかし、抗がん剤などでは副作用がつよく出ることがあります。
 当院では、『外来化学療法室』や『乳腺認定看護師』など専従のスタッフにより、安全に行うよう務めています。

【内分泌療法(ホルモン剤)】

 乳がんにはエストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)というホルモンレセプターがあります。これは治療を行う上で、ホルモン剤が効くかどうかの大きな指標になります。乳がん患者全体でER、PR両者陽性は45~60%、ER陽性、PR陰性は20%、ER陰性、PR陽性は5~10%、ER、PRともに陰性は20~30%,程度です。ER,PRの両方とも陰性の場合以外は内分泌療法の対象外となります。 また、内分泌療法は術後の再発予防で行う補助療法や転移再発乳がん治療においても非常に有効な治療選択肢です。

【化学療法・分子標的療法】

 乳がんサブタイプに準じて化学療法を選択しており、主に術後の補助療法ではアンスラサイクリン、タキサン系の抗がん剤を使用しています。
特に、HER-2 (human epidermal growth factor receptor type 2:ヒト上皮増殖因子受容体2型) という蛋白が過剰発現しているような乳がんに対する治療としてトラスツヅマブ(ハーセプチン)という分子標的薬があり、乳癌患者さんの予後延長に寄与しています。

【乳がん看護認定看護師・患者会】

 当院には乳がん看護認定看護師1名在籍しております。集学的治療を行う上で、患者さんの治療選択のサポートや副作用に対するセルフケア支援、ボディーイメージが変わることに対するケア(化学療法時のウィッグなど)、術後のリンパ浮腫に対するアドバイスなどを行っております。
 患者さんや、そのご家族の不安などに関して、身体的、精神的、社会的にサポートしております。また、患者会(さくら会)もあり、患者さんたち同士で話し合える場を提供し、不安の解消などに寄与しております。

さくら会

 筑豊の患者さんが筑豊で乳がん治療を完遂できるように、また、患者さんのニーズに合わせた標準治療を行えるようにチームで取り組んでいます。徐々にではありますが、当院での乳癌患者さんの手術症例も増加傾向にあります。乳腺に関してお悩みのことがありましたら、是非当科にご相談いただければ幸いです。

2017年6月
文責:武谷 憲二

診療実績

■ 乳がん手術症例数 推移
乳腺外科における乳がん手術症例数 推移
■ 当科の位置づけ

乳腺手術数 九州・沖縄ランキング

※2015年の手術数『手術数でわかるいい病院2017』
(週刊朝日MOOK)より引用改変

乳腺手術数 九州・沖縄ランキング:第15位
その他の実績についてはコチラをご覧ください

* 当科は、日本乳癌学会認定施設です。(全国で442施設、福岡県内24施設)
* 当科には、日本乳癌学会乳腺専門医1名(武谷憲二 医長)、
 認定医1名(甲斐正徳 臨床腫瘍科部長)が在籍しています。

(2017年1月1日現在)
(日本乳癌学会ホームページhttp://jbcs.gr.jp/より)

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