飯塚病院 整形外科

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主な病気・治療について

大腿骨近位部骨折

 大腿骨近位部骨折は股関節部(脚の付け根)に痛みがあり、ほとんどの場合、立つことや歩くことができなくなります。多くは転倒し臀部を打撲し受傷しますが骨粗しょう症のひどい人は軽微な外力で骨折する場合もあります。
 大腿骨近位部骨折は、関節の中で折れる場合(大腿骨頚部骨折)とそれよりもう少し膝側の関節外で折れる場合(大腿骨転子部骨折)の2つに分類されます。両者の大きな違いは、頚部骨折は血液循環が悪いため骨癒合が得られにくく、転子部骨折は骨癒合は得やすいが、受傷時の外力も大きく、内出血もするため全身状態に影響が出やすいということです。前者にはスクリュー固定術、人工骨頭置換術などが、後者には髄内釘固定術、プレート固定術がよく行われます。
 この骨折は骨粗しょう症で骨がもろくなった高齢者に多発することで有名ですが、2010年には約18万人、2020年には約25万人、2030年には約30万人、2042年には約32万人の大腿骨頚部/転子部骨折が発生すると推計されており、多くの方が骨折を契機に寝たきり、閉じこもりになってしまうので社会問題となっています。
 大腿骨近位部骨折は骨折そのものによる障害より、ベッド上安静に伴う合併症によるさまざまな問題が出現します。具体的には褥瘡、尿路感染症、肺炎、認知症の出現・増悪などが起こる可能性が高くなります。そのため早期に手術を行い、リハビリを開始することが望ましいとされています。
 そのため当院では麻酔科医師、手術室スタッフと協力し、可能な限り早期に手術を行っています。平成24年度では転子部骨折は91例中56例(62%)、頚部骨折の骨接合術は17例中11例(65%)を来院当日に手術を行うことができ、頚部骨折の人工骨頭置換術も62例中49例(79%)は来院5日以内に手術を行っています。
 しかし手術や麻酔というのは体にかなり負担がかかります。全身状態が悪い人や、認知症がひどく手術を行う方が寝たきりでいるよりも危険性が高いと判断される場合には、保存療法を選択します。頚部骨折は、癒合する可能性は少なく体重をかけることはできませんが、あまり痛みなく車椅子に座っていることは可能です。痛みが落ち着き次第できるだけ早く車椅子に移って寝たきりを防ぐことが重要になります。
 受傷前の歩行能力の回復を目標とした手術後のリハビリテーションも長期に及びます。急性期病院でのリハビリテーションは設備やマンパワーに限りがあり、回復期病院に転院して治療を継続していただくことになります。患者さんが安心して治療を続け、目標に到達するためには、急性期病院と回復期病院とのスムーズな連携が重要となります。当院では、より効果的・効率的なリハビリテーションを提供することを目的に、リハビリテーション提供施設との連携強化のツールとして、地域連携クリティカルパスを導入し、より良い治療を目指しております。

手術風景
手術風景
術前レントゲン
術前レントゲン
術後レントゲン
術後レントゲン

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