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大腿骨近位部骨折多職種連携アプローチ プロジェクト vol.01

2018年2月22日

最良の治療体制実現への道 

 大腿骨近位部骨折の原因は転んでお尻を打った場合などに、大腿骨の根元が折れてしまうことです。骨粗鬆症がひどい場合にはちょっと転んだだけでも折れてしまい、折れた場所に痛みが出て、立ち上がったり歩いたりすることが出来なくなります。 現代の日本では多くの高齢者の方が、骨粗鬆症にかかっていると推定されています。従ってあなたやあなたのご家族がこの「大腿骨近位部骨折」を起こす可能性は十分にあります。

 実はこの「大腿骨近位部骨折」の患者さんですが、日本ではどんどん増加しているのです。ひとつは日本が超高齢化社会を迎えていることにも要因があります。団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降もどんどん増え始め、老年人口がピークを迎える2042年には「大腿骨近位部骨折」の患者さんが2010年の約2倍になると予想されています。(参考:大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン)

 想像してみてください。飯塚病院では現在年間約200人の大腿骨近位部骨折の患者さんの手術を行っています。単純に考えると約25年後には400人になってしまうということです。大腿骨近位部骨折の患者さんは歩けなくなる為、多くの方は救急車で搬送されてきます。夜中にトイレに起きて転んで歩けなくなり、そのまま救急搬送されたという方もいらっしゃいます。現状の200人でも受け入れが精一杯の当院の状況の中、更に2倍になる、となると飯塚病院の救急センターや整形外科外来、整形外科の病棟は大腿骨近位部骨折の患者さんで溢れ返ってしまいます。現在と同等の受け入れシステムでは対応できず、痛くて辛い思いをする患者さんに手術が出来るまで待っていただくか、他の病院へ行っていただくことになってしまいます。これはすなわち、手術を行うタイミングが大幅に遅れてしまうということなのです。

 この「手術を行うタイミング」に関してですが、大腿骨近位部骨折(特に転子部(外側)が骨折している場合)においては、出来る限り早期に手術を行うことが大切です。骨折の痛みに耐えながら手術を待っている間に、体の筋力が落ちますので手術後の離床も遅れ、歩くためのリハビリの開始も遅れます。ベッドで寝たままでいると、床ずれが出来たり、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)や肺炎など合併症のリスクも高まります。入院期間も長くなります。そして寝たままが続くと精神的に不安な状態も続き、せん妄や不穏を招くこともあります。早く手術をするに越したことはありません。

 私たち飯塚病院整形外科では、総合診療科の協力のもと、このような状況に陥ってしまう前に今のうちに何か対策を考えていこうというプロジェクト「大腿骨近位部骨折多職種連携アプローチ」を2016年12月からスタートさせました。実はこのような取り組みは海外では既に実施され、成果を上げています。

 このページでは、私たちのプロジェクトについてご紹介していきます。まだまだプロジェクトはスタートしたばかりで課題や問題点も山積み、なかなか先へと進まない状況ではありますが、進捗を少しずつ報告していきたいと考えています。

文責:整形外科 稲員 千穂

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