後期研修医

ストレートコース

肝臓内科〔スタッフ医:5名(うち指導医:1名)〕

ココがウリ!

肝臓内科の後期研修

DATA(2015年実績より)

  • 年間外来患者数:延べ約21,000名
  • 日本肝臓学会認定施設
  • 年間入院患者数:約1,100名

はじめに

肝臓内科

 肝臓病専門医は肝癌や肝炎の患者さんの生命予後を大きく改善することが期待されています。

 肝臓病専門医の特徴としては、

  • [1] 悪性腫瘍に対する侵襲的医療を担当するintervention radiologist
  • [2] 肝胆膵悪性腫瘍に対する化学療法を施行するoncologist
  • [3] ウイルス感染症の治療を行うvirologist
  • [4] 合併症、合併疾患も合わせてはばひろく診療できるinternist

であることが求められます。

 これらの要因を合わせて学べる内科の専門医は数多くはありません。外来と病棟診療の比重、急性-慢性疾患、良性-悪性疾患、重症患者の比率、看取りまで診療すること、自分の技量がはっきり判ること、等含め、最もバランスのとれた専門領域の一つです。

当科の特徴

 多くの病院では肝臓病専門医は「消化器内科」や「内科」に所属しており、消化器疾患、一般内科疾患も診療しながら肝疾患の診療を行なっており、「肝臓内科」が独立している施設は多くありません。当科が単独の診療科として成立する最大の理由は患者数の多さによります。飯塚病院は筑豊地域(人口約45万)の中心に位置し、他に同規模病院がなく、救命救急センターも併設されており、あらゆる肝胆道系疾患患者さんが当科を受診されます。当科の年間入院患者数はのべ1,000~1,200人で、このうちの約半数が肝癌です。患者の集中という効果は大きく、対処するための努力と経験値の積み重ね、スタッフの充足と当院の設備投資による最新の画像診断装置の導入、画像診療科、外科との緊密な連携により、高いレベルの診療を行なえるようになりました。また、学術活動にも力を入れており、症例報告にとどまらず、各種肝疾患と治療についての臨床研究を行なっており、国内外の学会発表をはじめ和文、英文の論文を発表しています。

診療内容

 肝臓内科の診療の中心は、簡単に述べると、肝癌と肝炎、肝硬変の診療です。これらの疾患の診療は近年めざましく進歩しており、患者さんの予後が大幅に改善されています。もともと、筑豊地域ではウイルス肝炎の罹患率が高いため患者数が非常に多く、当院では設備とスタッフの充実があいまって、質の高い診療を行う体制ができあがっています。

 例えば肝細胞癌については、当院では年間100例前後の初発例があり、外科切除、肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼療法、リザーバー動注療法、分子標的薬治療、放射線照射療法などの中から症例毎に最も良い治療法を選択して治療を行うことになります。治療方針の決定、施行については肝臓内科、外科、画像診療科が連携して行います。肝臓移植、重粒子線治療を除くほぼすべての治療が可能で、しかも必要に応じて迅速に行うことができます。また、当科では、肝細胞癌以外にも胆管細胞癌、胆管癌、膵癌などの肝胆膵悪性腫瘍の治療も行っています。胆膵系の悪性腫瘍は、肝細胞癌と比べて進行が早く予後不良ですが、これらの診療も行うことで多様な抗癌剤を扱えるようになり、「癌」についてより深く知識を得ることができます。

 近年の傾向としては、全国的な治療の標準化の名のもとに、専門医はガイドラインに沿った診療を高いレベルで施行する厳しさが求められるようになりました。同時に患者の高齢化、multi disease化が進み、肝臓専門医の領域でのみ診療を行えば良いわけではなく、内科医としていろいろな合併疾患に対処する能力も、より求められるようになっています。

疾患別診療実績(近年の平均値)

  • 肝細胞癌の鑑別と診断(年間経験症例約300例)
  • 肝細胞癌の治療方針決定(年間経験症例約300例)
  • 肝細胞癌の局所療法手技(年間経験症例約100例)
  • 肝細胞癌の化学療法の適応決定と手技(年間経験症例約30例)
  • 肝硬変の管理、合併症の診断と治療(年間経験症例約100例)
  • B型肝炎、C型肝炎の抗ウイルス療法の適応決定と治療(年間経験症例約100例)
  • 急性肝障害の診断と治療(年間経験症例約10例)
  • 肝胆道系感染症の診断と治療(年間経験症例約400例)
  • 胆道系悪性腫瘍の診断と治療(年間経験症例約30例)
  • 閉塞性黄疸の診断、治療方針決定と手技(PTCD等)(年間経験症例約30例)
  • その他、自己免疫性肝疾患、NASH、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害などの診断と治療(年間経験症例約40例)

研修の特徴

 肝臓病専門医は、正確な診断を行い治療方針の決定ができることと、その裏付けとなる知識をもっていること、主治医としての責任をはたすこと、が最も大事です。頻度の高い疾患の対処に習熟するまでは、指導医によるマンツーマン指導となります。検査-治療手技は別として、主治医としてひと通りのマネジメントができるようになると指導医はアドバイザーになり、通常診療は独り立ちとなります。疾患の特徴から、一旦主治医になると、その患者さんが亡くなるまで長期にわたり主治医として担当することが多いため、自然と主治医としての責任意識を持つようになり、主治医でしか味わえない喜び、辛苦を経て診療能力が鍛えられます(ただし、主治医制は時に過剰な負担になることもあるため、2014年度からは緩やかにチーム制でカバーしあうようにしました)。また、学術活動にも力を入れており、各種肝疾患、治療についての臨床研究を行ない、国内外の学会、和文、英文の論文を発表しています。研究歴が長いスタッフが複数おり、研修される先生方のご希望、意欲次第で、研究活動の指導も充分に行うことができます。

 なお、肝臓内科においては、手技が精緻であることは必須ではありません。肝疾患に興味がある、あるいは肝疾患に詳しい内科医になりたいという希望があるのに、手技的なことが不得手、苦手だからと思って敬遠することはありません。ラジオ波凝固療法を行わなくても一流の肝臓専門医になることができます。逆に手技的なことに興味を覚えて当科での研修を希望されることも結構です。侵襲的治療を行うことが肝臓病専門医の主業と考える人すら珍しくはないので、ご希望に応じて厳しくトレーニングします。

 研修期間中の達成目標とする知識と技能は次の通り。

  • 肝癌:肝腫瘍の鑑別診断、治療方針決定、局所療法手技、化学療法の適応決定と手技。
    肝臓内科独特なものとして、エコーガイド下の穿刺手技があります。肝生検、経皮的ラジオ波凝固療法、経皮的胆嚢ドレナージ、経皮経肝胆道ドレナージ、ステント留置、膿瘍ドレナージ等が含まれます。症例が豊富で多数経験できることが他院と比して有利であると思います。
  • 肝硬変:一般管理、合併症の診断と治療。
  • B型・C型肝炎:診断、抗ウイルス療法の適応決定と実際。B型肝炎、C型肝炎診療は近年の劇的な進歩のさなかにあります。最新の治療でも、多数の症例があり、より短い期間で習熟できます。
  • 急性肝障害:診断(原因の鑑別)と治療。
  • 閉塞性黄疸:診断(原因の鑑別)と治療。
  • 肝胆道感染症:診断と治療。
  • 胆膵悪性腫瘍:診断(画像の解析)と治療。
  • その他、自己免疫性肝疾患、NASH、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害などの診断と治療。

教育の機会

 指導医によるマンツーマン指導に加え、下記のカンファレンスで多数の専門医と討議することにより専門的知識を深めることができます。

  • 週3回の肝臓内科カンファレンス
  • 週2回の肝臓内科-外科合同カンファレンス
  • 月2回の肝臓内科英語論文抄読会
  • 週1回の門脈圧亢進症カンファレンス(消化器内科と合同)

指導医・スタッフの資格

  • 日本内科学会認定内科医5名、総合内科専門医2名、指導医1名
  • 日本肝臓学会専門医4名
  • 日本消化器病学会専門医2名

取得可能な資格

  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本内科学会認定総合内科専門医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医

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